「ろうそく革命で世界の民主主義の歴史に新たな希望を作った」
19日(現地時間)、大西洋協議会(アトランティック・カウンシル)という米国のシンクタンクから「世界市民賞」を受賞した文在寅(ムン・ジェイン)大統領の受賞の所感の一節だ。この日米国ニューヨークで開かれた授賞式で、文大統領は「この賞を昨年冬に凍てつく広場でろうそくの灯を掲げた大韓民国の国民に捧げたい」としてこのように述べ、「大韓民国は民主主義と経済成長の両方に成功した国になった。世界的に認められた私たちの国民の成就が、私が今日国民を代表して世界市民賞を受賞することになった理由だと考える」と述べた。
文大統領のこの日の受賞所感は、世界の市民を相手にした韓国民主主義運動史の要約だった。文大統領は自身が朝鮮戦争が休戦になった年(1953年)に生まれたと紹介した後「その時期、韓国に対して外国のあるコラムニストは『韓国で民主主義がなされるということは、ごみ箱でバラの花が咲くのを待つことと同じだ』とまで言った」として始まった。 続いて1960年の4・19革命とその後の長期にわたる軍事独裁、1980年5月の光州(クァンジュ)市民抗争と1987年の6月抗争など、民主主義に向かう韓国現代史の主要変曲点をあまねく紹介し「今や韓国の民主主義は国民主権の完全な実現のために進展している」と説明した。特に文大統領は光州市民抗争について「最も平凡な人々が最も平凡な常識を守るために命を賭けた、人間としての尊厳を守ろうとする崇高な実践だった」として「韓国の民主主義の勇気と決断は生死がかかった状況でも節制力を失わない成熟を見せ輝いた」と紹介した。
文大統領が受賞の所感で最も多い時間を割いた点は、昨年の冬を熱くした「ろうそく革命」だった。文大統領は「韓国の国民はろうそく革命を通じて、憲法の手続きを通じて国民の意思を裏切った大統領を罷免した。最も平和で美しい方法で国民の意思を実現した」と述べた。さらに「大韓民国の国民は『民主共和国のすべての権力は国民に由来する』という命題を全世界の市民に見せ、これを通じて大統領になった私には、大統領も国民のひとりという事実を明らかにした」と付け加えた。
文大統領は「暴力ではなく平和の力が世の中を変える」とし、ろうそく革命の意味だけでなく、その過程についても詳細な説明を続けた。彼は「ろうそく革命は何カ月にもわたり1700万人が参加した大規模な市民の行動だったが、初めから最後までただの一件の暴力も、ただ一人の逮捕者も出なかった、完ぺきに平和で文化的な祝祭集会の形で進行された」として「平和の力を全世界に示し、世界的な民主主義の危機に希望を提示した大韓民国のろうそく市民こそがノーベル平和賞を受けるに値する十分な資格を持っていると考える」と述べた。
平和の力を強調した文大統領の演説は、北朝鮮の相次ぐ核・ミサイル試験で緊張感がみなぎっている朝鮮半島の問題につながった。文大統領は「国民が私の手をしっかり握るときに伝わってくるのは、公正で正しい国、平和な朝鮮半島を作れという切実な希望だ」とし「この賞には世界の平和のために朝鮮半島の平和を作り出せという世界の人々の激励と応援も含まれているだろう。朝鮮半島の平和を実現し、大韓民国が成し遂げた平和の歴史を申し上げる時が必ず来るだろう」と約束した。