文在寅(ムン・ジェイン)大統領が18日、米国に向かって出発し、首脳間の多国間外交の頂点である国連総会の舞台に上がる。21日に予定された国連総会の基調演説で、文大統領が朝鮮半島問題の当事国として発信するメッセージに、国際社会の注目が集まっている。
まず文大統領は「平和的解決」の大原則を強調する一方、国連安全保障理事会が採択した新しい対北朝鮮制裁決議第2375号を国際社会が徹底的に実施することで、北朝鮮を対話のテーブルに導く「圧迫と対話の並行」という大きな基調を維持するものと見られる。
問題は最近、北朝鮮が6回目の核実験に続いてミサイル挑発を相次いで行い、国際社会の懸念と非難が高まった状況で、対話と制裁のどちらに重点を置くかにある。
最近、文在寅政権は北朝鮮に対し、一層強硬な発言を続けている。今月3日、北朝鮮の6回目の核実験以降、文大統領は「失望と怒りを覚えざるを得ない」とし、日本上空を通過する弾道ミサイルを発射した今月15日には、「このような状況では対話も不可能だ」と宣言した。「国際社会が一層制裁を強め、北朝鮮は外交的孤立と経済的圧迫による没落の道に進んでいる」と警告した。国際機関を通じた北朝鮮人道的支援の持続と朝鮮半島での戦争は容認できないという立場を固守するものの、北朝鮮の挑発がある度に警告のレベルを高めたことで、自然に“対話”の余地は狭まってきた。「対話カード」を取り出し難い状況だ。
大統領府はそれでも国連という象徴的な空間を活用し、対話を通じた外交的解決を改めて強調する方策を模索しているという。大統領府関係者は「国連の精神がまさに戦争を防ぎ、平和を追求するというものではないか」としたうえで、「文大統領はそのような全ての(圧迫と制裁のような)行為も結局、戦争を防ぎ、平和への道のりと見ている」と強調した。今回の国連の基調演説で、今年7月の「ベルリン構想」で明らかにした「条件のない対話」よりはトーンダウンするかもしれないが、「対話と圧迫の並行」基調で力を失いつつある「対話」を改めて言及する可能性が高いということだ。また、別の大統領府関係者も「ベルリンの構想はまだ有効だ」と話した。同関係者は、ただし「北朝鮮の6回目の核実験後、当分の間、対話の話を切り出すの難しくなっており、圧迫と制裁に重点を置いた発言が続いている状況」だとし、「状況に合わせて、いかなる表現とレベルで調整するかを決めることになるだろう」と付け加えた。
これによって大統領府は、演説直前まで、トーンの調節をめぐり悩み続けるものとみられる。同関係者は「対話という用語を1回使うか10回使うか、そのようなことまで全部考慮しなければならない問題」だとし、「文大統領の基調演説に先立ってトランプ大統領が基調演説を行う予定であるため、21日に演説を行う直前まで悩み続けるだろう」と話した。大統領府は、イム・ジョンソク秘書室長主宰の国連タスクフォース(TF)を立ち上げ、文大統領の演説の主要内容を最終段階まで整えているという。文大統領より先に基調演説を行うトランプ米大統領がどのような北朝鮮メッセージを送るかにも注目が集まっている。
文大統領は、ニューヨークに到着した直後に予定されたアントニオ・グテーレス国連事務総長と会談を皮切りに、19日にはトーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)委員長と面会する。来年2月、平昌(ピョンチャン)冬季五輪を控え、世界の首脳らに「平和の五輪」を広報することも文大統領の多国間外交舞台における課題の一つだ。米国訪問最後の日には、国連演説をはじめ、韓米日首脳会議などが集中している。3カ国会合に合わせ、韓米首脳会談も推進している。