「最高レベルの制裁と圧迫」を加えると公言した米国の切り札は、まさに「北朝鮮に対する原油供給中断」だ。北朝鮮が国際社会の圧迫に耐え切れず、交渉の場に出てくるように、最後の手段を取り出すということだ。北朝鮮に対する原油供給量の大半を占める中国が、今回の新たな対北朝鮮制裁に参加するかどうかが注目を集めているのもそのためだ。
北朝鮮の年間石油消費量については、正確な数値が確認されていない。ただし、米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)は2016年、北朝鮮で消費された石油が74万トン余りと推算しており、統計庁は北朝鮮の2014年の石油消費量を約73万トンと推定した。
中国の対北朝鮮原油輸出量はおよそ年間50万~60万トンとされる。今年7月末、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が発表した「2016年北朝鮮の対外貿易動向」報告書によると、北朝鮮が昨年中国から輸入した原油は52万5000トンという。エネルギー経済研究院は2015年、中国の対北朝鮮原油輸出が年間50万~58万トン程度を維持しているという資料を発表した。公開された資料だけでも北朝鮮の対中原油依存度は70%を上回っている。公式統計に表れない“現物取引”、つまり密輸まで含めると、数値はさらに高まると見られる。現在、中朝間の公式原油輸送ルートである丹東-新義州(シンウィジュ)の送油管のほかにも、南浦(ナンポ)港・海州(ヘジュ)港をはじめ、東の羅津(ナジン)港・先峰(ソンボン)港などを通じて、かなりの量の原油が密輸されているとされる。
しかし、専門家らは北朝鮮への原油供給が中断されても、直ちに北朝鮮の核・ミサイル開発に影響を及ぼすことはないだろうと予想している。
米国の「ノーチラス研究所」が今月5日(現地時間)に発表した「北朝鮮への石油輸入制裁の影響と効率」報告書によると、中国が対北朝鮮エネルギー制裁に参加する場合、「北朝鮮は民間用の原油消費を年間需要量の40%まで減らし、多様な代替手段を投入するなど、北朝鮮軍の核・ミサイルプログラムには即刻的な影響がほとんどないだろう」と見通した。北朝鮮当局が真っ先に民間部門の発電用エネルギー供給や家庭用炊事・暖房、公共交通機関などへの供給量を減らすという分析だ。同研究所が2010年に発表した資料によると、北朝鮮の石油消費項目のうち、軍事用が19.2%、輸送が23%、発展が28.8%をそれぞれ占めているものと推定される。
慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「金正恩(キム・ジョンウン)は原油供給が中断される可能性にかなり前から備えており、原油に対する依存度を下げる形で経済構造を作ってきた」としながらも、「しかし、制裁期間が長くなると、打撃は避けられない」と予想した。