ドナルド・トランプ行政府が北朝鮮の6回目の核実験に対応して用意した国連安全保障理事会(安保理)への新しい対北朝鮮制裁決議案草案に、原油輸出禁止、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長などの海外資産凍結が含まれたと、外信が6日(現地時間)一斉に伝えた。トランプ行政府が中国およびロシアとの交渉戦略次元で「最大値」の目標を設定したと分析される。
米国の制裁決議草案には「想像可能な」ほとんどすべての対北朝鮮制裁案が網羅されている。まず原油だけでなく、凝縮油と精製石油製品、液化天然ガス(LNG)などすべての石油関連製品の対北朝鮮輸出を禁止している。
また、金正恩委員長、金委員長の妹の金與正(キム・ヨジョン)労働党宣伝煽動部副部長、ファン・ビョンソ北朝鮮軍総政治局長、キム・ギナム労働党宣伝扇動部長、パク・ヨンシク人民武力相が制裁対象に上げられた。草案は彼らの海外旅行を禁止し、海外資産を凍結することにした。
昨年、北朝鮮の輸出額の25%(約7億2千万ドル)を占めた衣類についても輸出を禁止した。中国は北朝鮮の衣類製品の80%を輸入していると知られている。
5万人程度と推算される北朝鮮の海外労働者に対する雇用および賃金支払を禁止する条項も入れられた。先月5日に採択された安保理決議2371号では、北朝鮮労働者の採用拡大だけ禁止したところからもう一歩踏み出した。この他に、制裁対象に上がった北朝鮮船舶を国連加盟国が公海上で遮断・検索できる権限も付与し、高麗航空も制裁対象としている。
安保理決議は米国と中国・ロシアの政治的交渉を通じて決定される。したがって草案自体がそのまま決議につながるわけではない。実際、米国政府は7月4日、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射時も対北朝鮮原油輸出禁止を草案に入れたと言われているが、反映はされなかった。制裁名簿に「金正恩」の実名明示も推進したが受け入れられなかった。
トランプ大統領はこの日、習近平中国主席との電話通話の後、記者団に「習主席も(北朝鮮の核実験に対して)何かをしたいだろう。彼ができることがないかを見るだろう」と述べた。続けて「習主席と私が100%一致すると考える」として「習主席も北朝鮮で起きていること(核実験)を見たくない」と話した。
トランプ大統領はまた、北朝鮮に対する軍事行動を考えるかとの質問に「明らかなことは、それは私たちの第一の選択ではない」として「どうなるか見よう」と付け加えた。全般的発言基調に照らしてみる時、習主席との通話で対北朝鮮制裁決議案と関連して大きな枠組みで米中間の意見接近がなされたのではないかという観測が出ている。
中国の王毅外交部長は7日、記者会見で「朝鮮(北朝鮮)が最近再び核実験で安保理決議に厳重に違反し、国際非拡散体系を破壊した。中国はこれに決然と反対する」とし「(朝鮮)半島の形勢に現れた新たな変化を考慮すれば、中国は国連安保理が一歩進んだ反応を見せ、必要な措置を取ることに賛成する」と話した。王部長はその一方で「制裁と圧迫は問題を解決する半分の鍵であり、残りの半分の鍵は対話と談判だ。両方合わせて一つにしてこそ朝鮮半島核問題を本当に解くことができる」として、対話の努力を求めた。
スチーブン・ムニューシン米財務長官はこの日ワシントン行きの機内で記者団に「(トランプ)大統領に報告する行政命令が準備されている。この命令は北朝鮮と取引するどこの誰とも(米国が)貿易を中断し、制裁を賦課できる権限を与える」とし、中国を圧迫した。ただし「大統領は国連に行動する時間を与え、適切なタイミングで行政命令を考慮するだろう」と明らかにし、中国企業に対する米国の独自制裁が安保理で中国の協力有無と連動されていることを表わした。