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「朝鮮半島問題、韓国が主導的に解決」…ベルリン構想を再確認

登録:2017-08-16 03:48 修正:2017-08-16 07:22
南北関係 
韓米同盟が安保の礎としながらも 
「朝鮮半島での軍事行動は大韓民国だけが決定できる」 
戦争に対する国民の不安感をなだめながら 
朝米に対し平和的解決を表明 
「北朝鮮の崩壊・吸収統一は望んでいない」
今月15日午前、ソウル世宗文化会館で開かれた72周年光復節記念式典に出席した文在寅大統領夫妻と出席者たちが、国旗に対する敬礼をしている。同式典には日帝強制占領期強制動員被害者や「慰安婦」被害者ハルモニも出席した=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が15日に行った光復節記念式典での演説には、行き詰まった南北関係を突破する新しい提案は盛り込まれなかった。代わりに、朝鮮半島危機の平和的解決の意志を強調し、北朝鮮の核問題など、複雑に絡み合った朝鮮半島状況の解決に向けた基本原則などが再確認された。最近、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射と国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議案の採択、北朝鮮の「グアム包囲射撃」の威嚇などで一層険悪になった朝鮮半島の安保の現実を反映したものと見られる。

■「すべてをかけて戦争を防止する」意志を表明

 文大統領は、朝鮮半島の危機を韓国が主導的に克服していくという意志を明確に示した。グアムをめぐる朝米間の衝突が朝鮮半島に飛び火しかねない状況で、積極的に乗り出して平和を守っていくということだ。文大統領は、これまで北朝鮮の核問題や朝鮮半島の分断を克服する過程が平和的な手段によって成し遂げられるべきと何度も明らかにしてきた。

 しかし、今回の演説には、政府が朝鮮半島の危機克服の過程でより主導的な役割を果たすという意志が強く表れている。今年6月の韓米首脳会談で合意された「朝鮮半島問題は私たちが主導的に解決すべき」といういわゆる「運転席論」が、さらに積極的に表明されている。文大統領は「政府は堅固な韓米同盟に基づき、米国と緊密に協力して安保危機を打開する」として、韓米同盟が韓国安保の礎であることを認めながらも、「しかし、韓国の安全保障を同盟国にのみ依存するわけにはいかない。朝鮮半島問題は私たち(韓国)が主導的に解決していくべきだ」と宣言した。

 文大統領が「朝鮮半島で再び戦争が起こることがあってはなならない」と強調したことや「朝鮮半島での軍事行動は、大韓民国だけが決定できる。誰も大韓民国の同意なしに軍事行動を決定することはできない」と断言したのは、米国を狙ったメッセージと見られる。現在、韓国軍に対する戦時作戦統制権は、韓米連合司令官兼在韓米軍司令官が持っている。しかし、韓米連合司令官の戦時作戦統制権は、韓米両国首脳および国防長官の指揮・指針によって行使するようになっている。米軍を直接名指ししたわけではなないが、事実上、米国が韓国を差し置いて一方的に対北朝鮮先制攻撃などの軍事措置を決定する可能性に対する警告だ。

 これと関連し、最近訪韓したジョセフ・ダンフォード米統合参謀本部議長は今月14日の記者会見で、「私たちのすべての決定は、同盟国と協議のもと行われると言える」と述べた。文大統領が北朝鮮核問題の平和的解決を強調し、「この点においては、韓国と米国政府の立場が変わらない」としたのも、このような背景を念頭に置いたものとみられる。

 チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院責任研究員は「文大統領が戦争問題は米国に対しても“ノー”と言えることを明確にした」と話した。ヤン・ムジン北韓大学院大学教授は「朝鮮半島の運命を同盟国だけに依存しないという『朝鮮半島の運命の平和的かつ自主的決定論』への意志が感じられる。しかし、平和を実現するための南北間の特使交換など、積極的な提案や米朝間直接対話の要求のように局面を突破する大胆な決定がないのは残念だ」と話した。

■「ベルリン構想」の再確認

 文大統領の対北朝鮮提案は、目新しいものを提示するよりも、これまで「ベルリン構想」などで明らかにした内容を再び整理して強調する水準にとどまった。代わりに、北朝鮮核問題や南北交流・協力問題などに対する基本的な立場と原則を真摯に伝えることに力を入れた。

 文大統領は同日、北朝鮮核問題の出発点が北朝鮮の核凍結という点▽対北朝鮮制裁は対話のためのものだという点▽北朝鮮の崩壊も、吸収統一も、人為的統一も望まないという点などを再確認した。文大統領は対北制裁が究極的には対話のためのものという点も強調した。文大統領は「制裁と対話は前後の問題ではない。制裁と対話が一緒に行われた際に、問題解決の突破口が開かれた」としながらも、このまま行けば、「私たちも望まなくても、北朝鮮に対する制裁と圧迫をさらに強めていくしかない」と述べた。「対話と制裁は両立しない」と反発する北朝鮮に向けて、「対話に導くための制裁」と説得を図ったものと見られる。

 文大統領はベルリンの構想で明らかにした「朝鮮半島の新経済地図」構想を再び取り上げ、「経済協力の過程で、北朝鮮は核兵器を持たなくても、自分たちの安保が保障されるということを自然に気づくようになるだろう」と述べた。また、南北軍事対話と離散家族再会に応えることを繰り返し求めた。

 さらに、文大統領は、日帝強制占領期(日本の植民地時代)の強制動員被害について言及し、「今後、南北関係が解決すれば、南北が共同で強制動員被害の実態調査を行うことも検討する」と明らかにした。

パク・ビョンス、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/806929.html 韓国語原文入力:2017-08-16 00:02
訳H.J(2419字)

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