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雇用労働部長官「労働者を労働者と呼ぶ」

登録:2017-08-14 23:39 修正:2017-08-15 08:36
文大統領、キム長官に任命状授与 
「労働者の声を積極的に代弁」要請 
 
キム長官「労災、不当労働行為、賃金未払に 
勤労監督の強化を推進」 
 
「労働者は使用者と同等な位置 
“勤労者”は使用者に従属した概念」
14日午前、大統領府で開かれたキム・ヨンジュ雇用労働部長官任命状授与式の後の歓談会で、文在寅大統領とキム長官など参席者が談笑している=大統領府写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 キム・ヨンジュ新任雇用労働部長官が14日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領から任命状を受け取り長官の職務を始めた。文大統領はキム長官に「労働の観点で労働者の利益や声を積極的に代弁してほしい」として「最低賃金とアルバイト賃金の未払いに対する勤労監督を強化してほしい」と注文した。労働界出身のキム長官は就任挨拶で“勤労者”の代わりに“労働者”と表現し、労働災害・賃金未払い・不当労働行為・長時間労働に関する強力な政策を予告した。

 文大統領はこの日午前、大統領府で開かれたキム長官に対する任命状授与式の後の歓談で「雇用労働部は経済部署であるものの、労働の観点で労働者の利益や声を積極的に代弁する役割を果すよう願う」と話した。続けて文大統領は「アルバイト賃金の未支給は労働の対価という点でアルバイトの賃金自体も重要だが、社会に第一歩を踏み出す青年・学生にややもすれば韓国社会に対する歪曲した先入観を抱かせる場合もあるという側面でも重く扱われなければならない」として「勤労監督官の数が不十分であり、勤労監督官拡充予算確保のために努力して、専門担当勤労監督官の配置も検討してほしい」と付け加えた。

 この日午後、政府世宗(セジョン)庁舎の雇用部大会議室で開かれたキム長官の就任式で、キム長官は「労働現場から労災事故・賃金未払い・不当労働行為・長時間労働のような恥ずべきことをなくさなければならない」と強調した。特に不当労働行為を“旧態”と指摘し、「憲法と法律で保障された労働三権を侵害する行為に対しては、勤労監督官が“労働警察”という責任感と自負心を持って積極的に対処しなければならない」と強調した。彼女は「労働偏向的」という批判を意識したように「一方に偏ることなく労使双方から拍手を受ける公正でバランスが取れた政策を推進する」とし「労災・賃金未払い・不安な労使関係が解消されれば、使用者の費用負担も減るだろう」と話した。

 中でも目につくのは、キム長官が“勤労者”という単語の代わりに“労働者”という表現を使った点だ。憲法で「労働力を提供して得た賃金で生活を維持する人」を意味する言葉は「勤労者」だ。また、「労働」の権利ではなく「勤労」の権利という表現を使っている。これは1948年に制憲憲法が制定された当時、理念的対立状況から「労働」を“不穏視”する背景から始まったことで、改憲を経ながらも「勤労」と「勤労者」はそのまま温存された。しかし「勤労者」という単語の辞書的意味が「こまめに仕事をする人」を意味するうえに「労働組合」、「雇用労働部」、「労働委員会」など労働という単語が公式的な法律用語として使われなかったわけでもないという点で「勤労者」を「労働者」に変えようという提案が続いてきた。ソウル市の朴元淳(パク・ウォンスン)市長も先月17日、文大統領に「労働者と使用者は同等な位置にあるが、勤労者は使用者に従属した概念なので、労働者という呼称を使うべきだ」として「勤労者の代わりに労働者という言葉を使おう」と提案した。

 特に文大統領が来年の地方選挙時に改憲を約束し、改憲議論の過程で「勤労者」を「労働者」に変えようという提案が相次いでいる状況で、雇用部長官が「労働者」という表現を使えば当該議論が自然に公論化されることが予想される。キム長官はこの日、記者団と会って「今後“労働者”という表現を使い続けるだろう」と明らかにし「(職員に別に指示しなくとも)自然にそんな風に(使用)されるのではと思う。“勤労”は良くて“労働”は良くないということではなく、勤労を提供する人が労働者だから、労働者と呼ぶだろう」と話した。

パク・テウ、イ・ジョンエ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/806730.html 韓国語原文入力:2017-08-14 18:45
訳J.S(1827字)

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