サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の弁護人が、裁判で朴槿恵(パク・クネ)前大統領と財閥トップらの単独会談を、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の企業家懇談会と比較し、波紋が広がると、撤回するハプニングを起こした。
ソウル中央地裁刑事27部(裁判長キム・ジンドン)の審理で28日に開かれたイ副会長の裁判で、イ副会長の弁護人のイ・ギョンファン弁護士(法務法人太平洋)は「特検の主張は、ほかの企業各社が単独会談で懸案を取り上げたから、サムスンもそうしただろうという一般化の誤り」だとしたうえで、「文在寅大統領も大手企業トップたちに会って懸案を聴取しているが、特検の論理どおりなら、不正請託を受けているのだ」と話した。文大統領は27日、現代自動車のチョン・ウィソン副会長など企業家9人と「ビールミーティング」を行ったのに続き、同日、SKのチェ・テウォン会長や、ロッテの辛東彬(<シン・ドンビン>、重光昭夫)会長、サムスン電子のクォン・オヒョン副会長など7人とも、同じ形の懇談会を開いた。
特検は同日の裁判で、2016年2月18日に予定されていた朴前大統領と辛東彬会長の単独会談前に大統領府がロッテから受け取った懸案資料と、同年2月16日にチェ・テウォン会長と朴前大統領の会談内容が書かれたキム・チャングンSKイノベーション会長の手帳の写本を公開した。カン・ベクシン特検派遣検事は「朴前大統領が単独面談の際、ロッテやサムスンなどグループの主要現況や提案をよく把握していたという点が確認された」として、「チェ会長と朴前大統領の対話内容は、イ副会長と朴前大統領の対話を推定できる間接証拠」だとと話した。
これを受け、イ・ギョンファン弁護士は「特検は懸案を話すと、すぐ不正請託だと主張するが、文大統領も大手企業のトップらに会って多くの懸案を聴取している。特検の論理どおりなら、不正請託を受けているのだ。そのような論理が成り立つのがどうかを問いたい」と反論した。これにカン・ベクシン特検派遣検事は「大統領も当然企業のトップらから経済懸案を聞く必要があるが、純粋に国家政策についてなら、疑念を抱かれないように文大統領のように公にすればいい」とし、「朴前大統領が秘密を守ることを要求し、安家(安全家屋)という密かな場所に企業トップを単独で呼んだのは、個人的な目的があったことを強力に裏付けている」と指摘した。
裁判が終わった後、イ副会長の弁護人ソン・ウチョル弁護士(法務法人太平洋)は記者団に「裁判過程で弁護人が昨日、文在寅大統領の企業家との対話に言及したことは適切ではない発言だった。特検との攻防の過程で、即興的に出た失言で、責任弁護士としてお詫び申し上げる」と伝えてきた。特検の関係者は「全部明らかにして透明に行う文在寅大統領の面談と、1対1で会って(チェ・スンシル氏の娘の)馬の支援を要請する朴前大統領の面談は同じであるわけがない。朴前大統領がイ副会長と秘密裏に単独面談をして請託をしており、その結果も違法だったということを明確に示すハプニングだ」と話した。