文在寅(ムン・ジェイン)大統領とドナルド・トランプ米大統領の初の首脳会談は、短い準備期間にしては期待以上の成果をあげた。非核化に向けた対話のための環境づくり案や戦時作戦統制権の早期移管など、韓国側の要求がかなり反映された。ただし、トランプ大統領が在韓米軍の防衛費分担に向けた交渉や貿易・通商問題と関連し、かなり直接的に言及しており、これから追加協議の過程が険しいものになることを予告した。
第一に、北朝鮮の核問題と関連し、韓米首脳会談の共同声明では、双方が北朝鮮に最大の圧迫をかけると共に、正しい環境のもとで北朝鮮との対話にも可能性を残していく立場を、首脳レベルで確認したと明らかにした。また、高官級戦略協議体を構成し、非核化に向けた対話のための環境を整えていく案など、対北朝鮮政策全般にわたり緊密に調整していくことで合意した。
これはトランプ政権の対北朝鮮政策である「最高の圧迫と関与(交渉)」に対し、両国が同じ立場を共有していることを確認しながら、圧迫から交渉への橋渡しに向けて、双方が積極的に動いていく意志を示したものと言える。新設される高官級戦略協議体という“制度的”チャンネルを通じて、トランプ政権のいわゆる「コリアパッシング」(北朝鮮の核問題において韓国を関与させない)に対する憂慮を払拭し、韓国側の立場を貫きやすい構造を確保した。
これと関連して、文大統領も同日、トランプ大統領との共同記者会見で「制裁と対話を活用した段階的で包括的なアプローチと共に、北朝鮮核問題を抜本的に解決していくことで意見の一致を見た」と明らかにした。「段階的かつ包括的な」北朝鮮核問題へのアプローチは、文大統領がこれまで「韓国の構想」として何度も提示してきたもので、「北朝鮮の核凍結」を朝鮮半島の非核化に進む入り口にし、究極的には「北朝鮮の完全な核廃棄」を出口とする2段階の解決策だ。
第二に、朝鮮半島の平和統一に向けた環境作りにおける韓国政府の主導的役割と、南北対話の再開と関連したトランプ大統領の支持を確保したことは、“加点”がつく成果と言える。非核化と朝鮮半島の平和構築というビジョンを実現するうえで、南北関係の改善が不可欠であることを(米国側に)納得させるのに成功したのだ。
実際、ホワイトハウスの高官は、韓米首脳会談の事前ブリーフィングで、文大統領の平昌(ピョンチャン)冬季五輪の南北単一チーム構成の提案に対し、「トランプ大統領も興味を持つだろう」と明らかにするなど、米国側にも肯定的な雰囲気があった。しかし、共同声明にこの内容が盛り込まれたのは、より拘束力のある支持を確保したことを意味する。北朝鮮の脆弱階層に対する対北朝鮮政策の影響も最小化しなければならないという共感を形成したことで、韓国政府が北朝鮮に対する人道支援などを通じて南北関係の改善を試みる余地を残したものと見られる。
戦時作戦統制権の移管問題についても、「早期の達成」を共同声明に明記したことは、当初2025年頃に予定された移管時期を早める土台になるものと見られる。これによって、早ければ今年10月頃と予想される韓米国防長官の会議体の韓米安保協議会議(SCM)から、作戦権の早期移管に向けた協議が本格的に始まる可能性がある。
ただし、トランプ大統領が記者会見で、在韓米軍の防衛費分担金の引き上げ問題を直接取り上げたのは、米国側の意外な逆攻勢といえる。ホワイトハウスの高官は首脳会談の事前ブリーフィングで、韓国の防衛費分担を「模範事例」だと言及し、大きく争点化しないことを示唆した。早くても今年末から交渉が始まる防衛費の分担問題をトランプ大統領が今回取り出したのは、自国の支持層を意識したものとみられる。
トランプ大統領が自動車と鉄鋼を名指しして貿易不均衡の問題を取り上げたことで、貿易・通商関連の懸案が今後韓米関係における難題になると予想される。安保問題には柔軟な態度を見せながらも、経済的実益を取るトランプ特有の交渉方式が、韓国にも適用されたとも言える。
韓国語原文入力: 2017-07-01 08:07