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「漢江再自然化」かえって再開発で航路変更?

登録:2017-06-17 05:31 修正:2017-06-17 07:42
大型船着場・文化施設・艦上公園が相次いで建設予定 
「環境に悪影響及ぼし経済的妥当性もない再開発」との批判も 
ソウル市「大型船舶は禁止し新谷水中堰の撤去時は設計変更も」
「漢江再自然化を通じた観光資源化に向けた4大核心事業」は「再自然化」が抜けた「再開発事業」だとの批判を受けている。絵は4大核心事業の位置図=ソウル市提供//ハンギョレ新聞社

 ソウルの漢江(ハンガン)に大型遊覧船を運行するための船着場と河川施設の建設計画が表面化している。オ・セフン元ソウル市長の「漢江ルネッサンス事業」が中断されて以来、消えた漢江辺の大規模な土建事業が「都市再生」を掲げた朴元淳(パク・ウォンスン)市長体制で再開されるのではないかという憂慮が高まっている。

 ソウル市は2019年、麻浦大橋と元暁大橋の間の漢江に建てられる大型船着場の具体的な絵を15日に発表した。大きくは700トンの船舶から個人ヨットまで公共・民間を網羅した船舶の入出航が行われる2100平方メートル規模の統合船着場「汝矣(ヨイ)ナル」で、2019年半期に完成を目標にしている。汝矣ナルのほかにも2019年に、川沿いには水辺文化集客施設の汝矣亭と文化商業施設の汝矣マル、複合・コミュニティ施設のアリ文化センターなど「漢江の観光資源化に向けた4大核心事業」の結果が入る予定だ。ソウル市は10月には、麻浦(マポ)、望遠(マンウォン)漢江地区に78億ウォン(約7億6千万円)をかけて海軍から退役した1900トン級の護衛艦と15トン級の高速艇2隻を停泊させ、「艦上展示館」を作る計画だ。

 市民社会はソウル市のこのような計画が漢江再自然化や生態的影響は検討せず、開発だけを進めていると口をそろえて批判した。正義党と労働党ソウル市党や生態保全市民の会、ソウル福祉市民連帯、ソウル市民連帯、環境運動連合などは15日、汝矣島国会議員会館で「漢江、復元と開発の岐路に立つ」をテーマに討論会を開いた。この場で正義党のチェ・ヨン・ソウル市党政策委員長は「汝矣島の統合船着場建設敷地はラムサール湿地でありながら、渡り鳥の飛来地であるバムソムに隣接した所にもかかわらず、市は経済の便益の妥当性ばかりを調査し、工事を決定した」とし、「コンクリート人口護岸に観光施設を増やすよりは、先送りになってきた再自然化計画を執行すべきだ」と主張した。

 正義党のソン・ジョンピル政策研究委員は「従来の船着場を維持しながら新たに船着場を建設することは、重複投資ともいえるのに、ソウル市が利用者たちのレジャー費用や便益を過度に見積もった」として、船着場事業の経済的妥当性についても疑問を呈した。艦上展示館の造成計画についても「大型船舶を停泊させるためには水深を人為的に増やすための川浚渫が避けられない」という懸念の声も上がった。環境に悪影響が予想され、経済的妥当性も不足しているのに、ソウル市が急いで推進する理由は開発目的しかないという疑問の声も高まった。

統合船着場「汝矣ナル」建設国際設計公募で最終的に当選した作品=ソウル市提供//ハンギョレ新聞社

 市民・環境団体と政界の一部が反対する最も大きな背景には新谷(シンゴク)水中堰の撤去問題がかかわっている。水中堰を撤去すれば、漢江の水深が低くなり、幅が大きく減少し、大型船舶が出入りすること自体が難しくなるため、大型船着場や水辺の開発が行われば、水中堰の撤去反対の論理として作用するという憂慮だ。2014年、ソウル市は漢江水質の回復のために国土部に新谷水中堰の撤去を要請したが、国土部の反対で立ち消えた。国土部と水資源公社は、漢江本流に700~1000トン級の観光船を加えることを要求してきており、「需要予測の失敗で2兆ウォンの税金をかけながらも失敗した京仁運河を蘇らせようとしている」と批判を受けてきた。

 ソウル市のイ・ソンチャン都市再生本部公共開発センター長は「1000トン以上の船を運航しなければならないと主張した国土部などを説得し、700トン以下の運航に制限した」とし、「設計の過程で新谷水中堰の撤去を含め、漢江の水位変化の可能性を十分反映し、4大事業は小規模環境アセスメント(影響評価)対象であるため、基本設計段階で環境評価も進める予定」だと明らかにした。

ナム・ウンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/799020.html 韓国語原文入力:2017-06-15 21:57
訳H.J(1920字)

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