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運河用の堰、災いがこれ以上大きくなる前に撤去を検討せねば

登録:2013-07-30 18:14 修正:2013-07-30 22:41
【呻き声を上げる4大河川・・復元が答えだ】1部 どのように生き返らせるか
堰撤去後の孔陵(コンヌン)川での水遊び-京畿道(キョンギド)高陽市(コヤンシ)徳陽区(トギャング)仙遊洞(ソンユドン)の漢江(ハンガン)支流である孔陵(コンヌン)川で29日午後、市民がソウル外郭循環高速道路の橋脚下で水遊びをしている。 2006年4月農業用水用の堰を撤去したあと、孔陵川の水質が改善されてナマズ・藻屑蟹が戻ってくるなど自然型河川によみがえっている。 高陽/リュ・ウジョン記者 wjryu@hani.co.kr

去る10日に発表された監査院の4大河川事業監査結果により、4大河川事業はイ・ミョンバク大統領があきらめると言った運河の再推進を考慮して推進された事業であることが明らかになった。 隠されていた4大河川事業の実体があらわになると共に、私たちは4大河川の未来について深く考えざるを得なくなった。 ハンギョレは4大河川の現場集中点検を皮切りに、4大河川の復元を模索する企画シリーズを掲載する。

閉じ込めた水、緑藻汚染で使えず生態系かく乱まで
「堰の撤去に1600億ウォン」…年間管理費は6000億ウォン

 4大河川事業はイ・ミョンバク政府が掲げた水資源確保と洪水予防という目的では説明できない事業だ。 事業現場と事業内容が、掲げた目的とはまったくつながらない。環境団体が「偽装された運河事業」と規定したのはそのためだ。

 去る10日に発表された監査院の4大河川事業監査結果は環境団体のこのような主張を裏付けるものだ。 監査報告書を見れば、大統領府の関心は水資源確保と洪水予防の基準である貯水量と河川通水能力以前に、異様なほど“水深”に集中していた。 結局それに合わせて、4つの自然型の小型堰が、平均水深4~6m(洛東江の場合)を確保するための16個のコンクリート大型堰に変えられた。

 市民環境団体で構成された<4大河川復元汎国民対策委員会>のファン・インチョル チーム長は「4大河川は再自然化せざるを得ない。 だが、検証と責任論議に集中した結果、具体的な話ができなかったのは事実だ」として「いまや監査院の発表だけでも4大河川事業の性格とその失敗が判明しているのだから、環境の災いをこれ以上大きくしないためにも再自然化の話を一緒に始めなければならない」と話した。

 合理的保守主義者とされるイ・サンドン中央(チュンアン)大名誉教授(前セヌリ党非常対策委員)も同様な見解を示した。 イ教授は最自然化方法による堰の撤去を論じた。「堰により水を貯めたものの、その水を使うという所がないではないか? 用途もない、エコノミーの方は言うまでもなく何の意味もない、水質・生態系に負担を与えるだけの堰は取りはらう方向しかない」と話した。

 16の堰の建設には1兆5000億ウォンが投入された。 最後の堰が竣工して2年も経たずに撤去の話まで出てくる理由は、堰が不必要なだけでなく維持費がとても大きいためだ。

 水温が上がりさえすれば決まって洛東江(ナクトンガン)中上流まで脅かす緑藻は、4大河川に堰を維持するがために人間と自然が共に支払う最も大きな費用に挙げられる。“水を入れる容器”が大きくなったことによる希釈効果を主張していた環境部関係者たちも、去る1月に監査院が「堰内の滞留時間増加などにより藻類が増殖する可能性が高くなる」と指摘してからは堰の悪影響を否認しない。 緑藻発生にともなう国民の不安と生態系への脅威は、藻類除去船購入・運営費、浄水設備補強費用などのように金額に換算することもできない。

 川の水において緑藻発生を左右する要因としては、人間の手の届かない太陽光と水温、栄養物質、水の滞留時間が挙げられる。 4大河川で栄養物質であるリンの濃度はかなり以前から富栄養化状態だ。 それでも過去に緑藻が大量発生しなかったのは滞留時間が短かったためだ。 堰の設置で4大河川の流速は、洛東江(ナクトンガン)の場合、10倍程遅くなった。 気象条件さえ重なればいつでも緑藻が猛威を振るう状況になったわけだ。

 環境部は4大河川水系に計画された下水処理場を早期建設するなど、栄養物質を低くすることに懸命になった。 その結果、4大河川の16の堰水域の総リン濃度を2005~2009年上半期平均0.207㎎/L(以下単位省略)から2012年上半期平均0.114に下げるところまでは成功した。 だが昨年夏、洛東江では“ノクチョラテ”(訳注:緑藻(ノクチョ)が“ノクチャ(緑茶)ラテ”そっくりで発音も似ているところから、緑藻を“ノクチョラテ”と皮肉って呼んだもの)という新造語まで作られた。

 キム・ジュァグァン釜山カトリック大教授(環境工学)は「4大河川でリンを統制して緑藻の発生を防ぐには総リン濃度を0.05まで低下させなければならず、厳密に言うならば4大河川が事実上湖沼化された状態であるから、湖沼の富栄養化基準である0.02まで落とさなければならない。 これは事実上不可能だ」と話した。 可能だとしても問題は費用だ。 総リン濃度を0.207から0.114に45%ほど低下させる効果を上げた4大河川水質改善事業だけに3兆ウォンが投入された。 海洋投棄禁止により陸上で処理しなければならない汚染物質が増えている状況で、これをさらに半分に落とすには天文学的な費用がかからざるを得ない。

 こうした費用を払いながら、川の水を貯めても使う所がないという点も問題だ。4大河川事業計画が出てくる前の2006年に確定した政府の水資源長期総合計画を見れば、洛東江圏域の不足水量は水需要が増加し続けるというシナリオで最大の旱魃になっても2016年1億3600万t、2020年1億5600万tに留まると展望された。 この程度の不足量は4大河川事業に含まれた中小規模のダム建設と貯水池の堤防を高めるだけで充当してあまりある。 大型堰を設置して6億7000万tの水をさらに貯めておく理由などなかったのだ。

 堰をそのままにして水門の放流量を調節して緑藻問題を解決する方法もある。 部分的な自然化だ。 この場合には堰の維持・管理費と環境性、安全性などを綿密に検討してみなければならない。 政府は4大河川維持・管理費を含む国家河川管理事業予算として今年約2000億ウォンを編成した。 国土研究院が4大河川をまともに維持・管理するための費用として推算した金額は6000億ウォンを越える。 堰を撤去すれば払わなくて済む費用だ。

 堰の環境的弊害は一つや二つではない。 水質悪化以外にも河川景観き損、河川生態通路遮断、水辺生物棲息環境変化による生態系かく乱などの問題を起こす。 建設技術研究院が2006年から2年間、京畿道(キョンギド)高陽市(コヤンシ)孔陵(コンヌン)川(旧 曲陵川)の孔陵第2堰と京畿道(キョンギド)漣川郡(ヨンチョングン)漢灘江(ハンタンガン)のコタン堰を実際に撤去して河川生態通路復元と水質改善効果を研究した報告書を見れば、堰の撤去は河川生態機能回復はもちろん水質改善に大いに役立つ。

 パク・チャングン関東(クァンドン)大教授(土木工学)は「堰を維持しながら放流量を調節するのは緑藻予防には効果があるだろうが、堰は洪水の危険を増加させる施設だという点と堰の上流川底に汚染物質が堆積することを解決できないことが問題」として「究極的には堰を解体して自然復元する方案に進むべきだ」と話した。

 堰を撤去する場合、費用は大きな問題とはならないものと見られる。 1個につき100億ウォン程度あれば充分だというのが河川学会の計算だ。 16個を全部撤去するとしても、費用は4大河川事業の年間維持・管理費より少ない。

 堰の除去が必要だと見る専門家たちも堰を直ちに全部爆破してなくそうと主張しはしない。 今のように川底が深く浚渫された状態で堰が除去されれば、川の水位は4大河川事業以前よりさらに低くならざるを得ない。 これは河川周辺の湿地などに影響を与える恐れがある。 洪水移動速度の変化にともなう安全問題なども考慮しなければならない点だ。 これに対する綿密な検討と準備、社会的合意が必要なわけだ。 キム・ジョンウク ソウル大環境大学院名誉教授は「堰を壊して川を再び自然に返すのが当然な道理だが、かといってそれをイ・ミョンバク政府が国民を無視して強行したのと同じようにやるべきではない。 国民的合意過程を経て一つ一つ進めていくようにすべきだ」と話した。

キム・ジョンス先任記者 jsk21@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/597642.html 韓国語原文入力:2013/07/30 10:26
訳A.K(3653字)

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