米国の原子力空母カールビンソン号が当初伝わっていたのとは異なり、4月末頃朝鮮半島周辺海域に進入するという事実を国防部が4月上旬にあらかじめ知っていたにもかかわらず、これを隠してきたことが明らかになった。当時カールビンソン号の朝鮮半島への移動と関連した「4月危機説」が朝鮮半島を揺るがしている状況で、国防部はカールビンソン号の朝鮮半島への展開時期がマスコミなどの予想よりはるかに遅れることを知っていながら、事実を隠したまま、カールビンソン号の所在についての殺到する確認要求を無視する方法で危機説を傍観したのだ。
共に民主党のイ・チョルヒ議員室は30日、「国防部は米国側から、カールビンソン号が4月末頃、朝鮮半島近隣に展開するという通知を受けたことが確認された」と明らかにした。イ議員室関係者は「国防部担当者に問い合わせた結果、国防部が米国側から関連内容を通知された時点は先月9日だった」と説明した。これらを総合すると、軍当局は先月9日、カールビンソン号が4月末に朝鮮半島付近に進入するという事実を確認し、この時からカールビンソン号が参加する「韓米共同海洋作戦」関連計画を立てたということだ。
これに先立ち、先月8日、米太平洋司令部報道官は「北朝鮮はこの地域で最も大きな脅威」だとし、カールビンソン号の航路変更が北朝鮮を狙ったものであることを示唆した。故金日成(キム・イルソン)主席の誕生日である「太陽節」(4月15日)を控え、北朝鮮の核実験や長距離弾道ミサイル発射を行う可能性があると見られていた時点だった。さらに、ドナルド・トランプ米大統領が(朝鮮半島周辺海域におけるカールビンソン号の展開が)米軍の「対北朝鮮武力示威」であるかのように言及したことで、米国が独自の対北朝鮮軍事行動を取る可能性まで取りざたされた。10日間以上にわたり、朝鮮半島周辺の危機感はこれまでに例を見ないほど高まった。「朝鮮半島危機説」はカールビンソン号が先月15日まで朝鮮半島に向けて北上せず、反対の経路であるインド洋を通っていた事実が知られたことで、一段落した。
この期間中、国防部は事実上無反応を貫いた。カールビンソン号の朝鮮半島行きが報道された後、初の定例ブリーフィング(10日)では「韓米はそのような部分において協力を行っている」と答えただけだった。米国の「嘘」が明らかになった先月19日には「韓米間の協議は続いている」としたうえで、「ただし、戦略資産の作戦運用に関しては何も言えない」と述べた。
国防部が軍作戦と関連して非公開の原則を固守してきた点を考慮しても、国防部の対応が無責任だったという批判は免れないと思われる。朝鮮半島の危機が最高潮に達し、偶発的衝突の可能性まで増加した状況にもかかわらず、事態を傍観したからだ。これについて、イ・チョルヒ議員は「国民の安保不安の解消に先頭に立つべき国防部が、かえってこれを傍観して事実上危機を助長したことに他ならない」とし、「韓国政府がこんなことをしてもいいのか問いたい」と批判した。
韓国語原文入力:2017-05-31 05:00