米海軍は8日(現地時間)、航空母艦カールビンソン号がシンガポールから西太平洋に向けて北上するよう命令を受けたと発表した。北朝鮮が太陽節(4月15日)を控えて核実験の兆候などを見せ、米国がカールビンソン号を朝鮮半島側に送り武力示威をするものと解釈された。ジェームズ・マティス米国防長官は11日、予定されたオーストラリアとの合同訓練を取り消したと話し、ドナルド・トランプ大統領は12日「きわめて強力な艦隊を(朝鮮半島に)送るだろう」と話し、朝鮮半島の軍事緊張を精一杯に引き上げた。
ところが1週間が過ぎた15日になってもカールビンソン号はインド洋に留まり、オーストラリアとの連合訓練を予定通りに行った事実が明らかになった。カールビンソン号は今になって朝鮮半島に向かって北上しているという。
トランプ政権が意図的な嘘で北朝鮮に対する“心理戦”を展開したのか、あるいは米国政府内のコミュニケーションの混線なのかは定かでない。意図的な嘘ならば、朝鮮半島問題だけでなく米国の外交政策全般に対する信頼を失う行為だ。それだけでなく、同盟に対する礼儀にも反する。たとえ内部疎通の問題だったとしても、トランプ政権の国政運営の乱脈の様相を示すものであり、危機局面での不安感を加重する。
韓国国防部の態度も理解できないことは同様だ。国防部は「知っていたか」という質問に「韓米が緊密に協調している」という言葉だけ繰り返した。カールビンソン号が来た場合、韓国海軍と協力しなければならない状況であるため知らなかったはずがない。それでも国防部は何も言わなかった。朝鮮半島の緊張高揚のための政治的目的が介入したのではないかとの疑いを持たれる内容だ。韓国国防部が「(カールビンソン号の航路変更は)事実でない」と、米国より先に明らかにすることは容易ではなかっただろう。それでも、朝鮮半島の安全がかかった焦眉の関心事案であった。国防部は「韓米共助」より「国民」を優先に考えなければならない。