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簡単には解けない「正規職化」のかせ糸 … 「労組が参加して一緒に解いて行くべき」

登録:2017-05-18 23:38 修正:2017-05-19 21:31
公共部門正規職化方案を巡る論議
「機関が直接雇用」-「子会社が雇用」
機関ごと正規職化方法・手続き複雑
第1号の仁川空港は労組参加を排除
ソウル東大門区新設洞茶山コールセンターで15日、職員たちが市民と電話相談をしている=キム・チョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が12日、仁川(インチョン)空港を電撃的に訪問して「公共部門非正規職ゼロ時代」を宣言した後、初の試験台に上がった仁川空港公社が非正規職を「どのように」正規職化するかを巡り論議が大きくなっている(5月4日付ハンギョレ新聞1面)。 専門家は 「仁川空港で最初のボタンをうまくかけなければならず、当事者の声を必ず反映させなければならない」と提案した。

公共部門非正規職の正規職化方案//ハンギョレ新聞社

 現在取り上げられている「正規職化」方案は大きく分けて二つだ。一つは、仁川空港公社が別途の職制を作って直接雇用する方式だ。政府や地方自治体が派遣・委託会社で働く労働者を「公務職」(無期契約職)という職列で雇用するか、あるいは去年5月にソウル地下鉄九宜(クイ)駅でのホームドアの事故後にソウルメトロと都市鉄道公社がホームドアの整備・車両軽整備労働者を雇用した事例が代表的だ。ソウル科学技術大のチョン・イファン教授は「政府の財政負担のため号俸給の適用される既存の正規職のような処遇を保障する正規職化は難しいだろうが、(職務価値によって賃金を策定する) 職務給を導入して期間の限定なしに雇用する『職務給制正規職』が望ましい」と話した。

 別の方法としては、公社が出資した子会社で雇用する方式がある。ソウル市は「120茶山(タサン)コール財団」を設立して委託会社所属だったコールセンター相談労働者を雇用し、ソウルメトロも「ソウルメトロ環境」という子会社を設立して清掃労働者を雇用した。韓国労働研究院のペ・ギュシク先任研究委員は「生命・安全や核心的業務に対しては公社が別途の職列を作って直接雇用し、残りの業務は子会社を通して雇用することが可能だ」と明らかにした。

 しかし子会社を通しての雇用は既存の委託会社と同様「間接雇用」に当るため、業務の効率性を落とす恐れがある。公共運輸労組仁川空港地域支部は15日、声明を出し「去年の手荷物騒動と密入国事態など仁川空港の主要事故は元請け-下請け-労働者の間の不疎通が原因だった」として「空港サービスの質と安全のために迅速な疎通が可能な組織形態が必要だ」と主張した。

 このように正規職化の方法と手続きが複雑なので、労組が正規職化論議に直接参加すべきだという声が大きくなっている。ソウル市と傘下機関の正規職化を担当していたソウル市のチョ・ソンジュ労働政策担当官は「正規職の概念が多様で機関と業務によって環境が違うので、正規職化は非常に複雑な問題だ」として「一方的に (政府や機関が) 正規職化を実施するのではなく、労組や当事者と一緒に作って行かなければ失敗する」と強調した。高麗大労働問題研究所のパク・テジュ研究教授も「労組を恩恵授与の対象として見るのではなく、対話の主体として参加と協力を前提にしなければならない」と提言した。公共運輸労組のパク・チュンヒョン政策企画室長は「公共部門の非正規職の正規職化をちゃんと実施するためには、政府の定員管理と総人件費制度、経営評価制度など公共機関管理制度が変わらなければならない」として「企画財政部など政府部処と使用者である公共機関が公共部門労組と対座して下絵を一緒に描くべきだ」と指摘した。

 仁川空港公社は文大統領の訪問後の14日「良質の働き口創出タスクフォース(TF)」を立ち上げたが、労組は参加させなかった。公社の広報担当者は「正規職化推進業務は公社と企画財政部が論議して進めるだけであって、労組は参加しない」として「労組に諮問することはあり得るが、労使政テーブルを作って進めはしないだろう」と話した。

 去年基準で中央・地方政府、公共機関など公共部門で働く非正規職労働者は31万2千名である。

バク・テウ、チョン・ウンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力: 2017-05-15 21:08

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/794862.html  訳A.K

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