江原道の江陵(カンヌン)と三陟(サムチョク)で山150ヘクタールと家35軒を燃やす大きな山火事が起こったにもかかわらず、政府の対処は依然としてあたふたしていた。セウォル号事件後、災害対応を強化すると消防防災庁と海洋警察を統合して災害対応指針を改善するなど騒ぎ立てたが、変わったものはなかった。
6日昼、江陵市城山面(ソンサンミョン)於屹里(オフルリ)で発生した山火事と関連して、黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行はこの日、国民安全処長官などに「緊急指示」を下したと首相室は7日、明らかにした。しかし、その「緊急指示」が担当記者団に携帯ショートメールや電子メールで届いたのは、山火事が起きて7時間がとっくに過ぎた6日夜11時ごろだった。緊急指示の正確な時点は明らかにしなかった。首相室は「緊急指示は黄代行が山火事の報告を受けた直後に下されたが、報道資料の内容を整理して発表するのに時間がかかった」と釈明した。
山火事が起きた於屹里の住民らはこの山火事に関して、緊急災難ショートメールは何も受け取らなかった。けぶった山火事の煙と灰、匂いが半径数キロにわたって広がったにもかかわらず、この一帯のどの住民にも山火事に関するショートメールは届かなかった。山火事現場の近くに住む住民311人が避難し、城山面と江陵市の隣の地域住民たちが一睡もせず夜を過ごした後も同様だった。2011年に作られた山火事危機警報がこの日初めて「深刻」段階まで上がったにもかかわらず、ショートメールは沈黙していた。
国民安全処のイ・スンウ報道官は「緊急災難ショートメールは安全処が送るが、ショートメールを送るかどうかは主務機関である山林庁と江陵市が判断する。安全処には何の要請もなかった」と話した。これについて、山林庁のイ・ジュンサン報道官は「6日夜9時に危機警報を『深刻』に引き上げた後、ショートメール配信を検討したが、すでに江陵市が住民たちを避難させた状況だったので送らなかった。これから山火事の危機段階が高まれば、該当地域・周辺地域住民たちにショートメールを送ることを検討する」と話した。山火事が起こってから5時間30分が経ってからショートメール配信を検討し、それすらも諦めたということだ。江陵市報道官室も「山火事に対処するのに慌ただしく、緊急災難ショートメール配信を要請できなかった」と明らかにした。
山火事の初期対応の核心装備である消防ヘリコプターの運営方式も俎上に乗せられた。現在、韓国国内には計161機の消防ヘリコプターがあるが、山林庁が保有する45機だけが山火事のときに直ちに投入することができる。これすらも全国に散らばっており、山火事の消火の「ゴールデンタイム」である30分に合わせられるヘリは数えるほどしかない。残りの116機は地方政府(64機)と安全処(28機)、陸軍航空作戦司令部(24機)など管轄機関が分かれている。したがって山火事に投入するためには、山林庁がいちいち連絡をして要請しなければならない。
緑色連合のソ・ジェチョル専門委員は「毎年春に政府が宣布する『山火事対策期間』だけでも全ての消防ヘリコプターの指揮権を山林庁長に渡すべきだ。装備を持っていても、管轄問題のために効率的に使用できない」と指摘した。
国家災難主管放送社である韓国放送(KBS)の「災難ポータルサイト」も役に立たなかった。このサイトには7日未明2時50分まで江陵の山火事の現況が表示されなかった。これに対して韓国放送は「山林庁から山火事情報を誤って送り、表示されなかった」と釈明した。しかし、当該山火事情報を入力した山林庁は「(山火事情報を誤って送ったという)韓国放送の釈明を理解できない」と明らかにした。