「ドナルド・トランプ米大統領が法人税を35%から15%に大幅に引き下げると話した。私を除く候補が皆増税を言っているが、韓国だけが正反対に行こうとしているのではないか?」(洪準杓<ホン・ジュンピョ>自由韓国党候補)
「李明博(イ・ミョンバク)政府の時に下げたが、2008年と2016年を比較すると投資は増えず、企業内の留保金だけが増えた。法人税の引き下げが投資につながるという単純論理は成立しない」(劉承ミン<ユ・スンミン>正しい政党候補)
トランプ米行政府の減税政策は、韓国の大統領選挙でも広く言われている。主な候補の大部分が福祉公約財源調達のために法人税の引き上げが必要だと明らかにしているが、一部の保守候補は相変らず「減税を通した企業投資の活性化」を強調しているためだ。洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補は28日、5回目の大統領候補テレビ討論でトランプ政権の政策を挙げて、減税の正当性を主張した。だが、これは国家別の実情を勘案しない図式的な主張だという評価が出ている。
まず経済協力開発機構(OECD)の統計を見れば、2016年基準で韓国の法人税名目最高税率は24.2%(地方税を含む)で、OECD34カ国のうち19番目に高い水準だ。デンマーク,スウェーデン(22%)、英国(20%)を除けば韓国より法人税率が低い国はチェコ、ハンガリー、ポーランド、スロベニア、ラトビアなど旧東欧圏国家が殆どだ。ユーロゾーンに編入されて企業の誘致を目的に法人税を低くしてきた国々だ。
企業が実際に負担する実効税率を比較したOECDの公式統計は出ていないが、韓国の法人税実効税率は主要国の中で低い水準だ。世界33カ国の法人実効税率を集計した英国オックスフォード大企業租税研究所の資料によれば、韓国の法人税実効税率は18.0%で7番目に低かった。租税回避国に挙げられるアイスランドの法人税実効税率(17.7%)と大差ない水準だ。米国(34.9%)、日本(33.6%)などの実効税率は韓国の2倍水準だ。
何より低成長基調が続いているうえに、少子高齢化傾向に対応するには福祉支出を大幅に増やさなければならない韓国の財政現実では、法人税の引き上げを始め徐々に税収基盤を拡充していく必要があると指摘されている。
現行法上、韓国の法人税は課税標準2億ウォン以下の企業は10%、2億ウォン超200億ウォン以下の企業は20%、200億ウォン超企業は22%と決められている。名目最高税率は1999年の28%から2002年に27%、2005年に25%、2009年に22%に引き下げられ、2012年には課税標準2億ウォン超200億ウォン以下の区間を20%に引き下げた。グローバル金融危機の直後にも他国に比べて相対的に早く法人税を引き下げた国に属する。
専門家たちは、国家別法人税率の単純比較は危険だと指摘する。韓国租税財政研究院は「不完全労働市場下での国家間租税競争モデル分析」報告書を通じて、「国家別法人税率の単純比較は適正法人税率の設定という意志決定において大きな意味はない。主要国の法人税が低くなる傾向であるが、韓国の経済内部環境の変化により法人税の課税権限は強化されたり縮小されることがありうる」と明らかにした。労働市場の効率性や貿易費用などの変数が国家間租税競争の様相を大きく変えることがあるということだ。何よりも海外に出て行った自国企業を誘致しようとしている米国とは異なり、韓国国内では法人税負担のために海外に出て行く企業が多い状況にはない。キム・ジョンミン共に民主党議員室のイ・ジョンソク補佐官(公認会計士・財政租税専門)は「過去10数年間、税の負担水準が企業は低くなり個人は高くなる傾向を示したので、企業の税負担余力はあると見なければならない」として「低い租税負担率水準と財政支出拡大の必要性を勘案する時、増税議論は避けられず、現実的には法人税から出口を開く方案を検討することができる」と話した。ファン・ソンヒョン仁川大教授(経済学)は「米国などが法人税の引き下げを議論しているので、韓国も引き下げなければならないのではないかということは、あたかも登山道の入り口にいる人が頂上から降りようとする人々を見て引き返すようなものだ」と指摘した。