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非転向長期囚カン・ヨンジュ「虐殺者は反省しないのに、なぜ私を処罰するのか」

登録:2017-04-29 05:18 修正:2017-04-29 07:07
28日、保安観察法違反の初裁判で主張 
「欧米留学生スパイ団事件」と関連し国家保安法違反で収監 
保安観察法届け出義務を守らなかったとして3回目の裁判に 
カン氏「申告義務の強制は良心・私生活の自由を侵害する」
保安観察法違反の疑いで裁判を受けるカン・ヨンジュ氏//ハンギョレ新聞社

 「欧米留学生スパイ団事件」に巻き込まれて14年間獄中生活を強いられた後、保安観察法の届け出義務を履行しなかった疑いで裁判に開けられた非転向長期囚のカン・ヨンジュ氏(55)に対する初裁判が、28日に開かれた。カン氏は「保安観察法の届け出義務が私生活の秘密と自由を侵害する」と主張し、保安観察法に対する違憲法律審判を請求することを明らかにした。

 ソウル中央地裁刑事4単独チョ・グァングク判事の審理で同日開かれた裁判で、カン氏側は「保安観察法の届け出義務を履行しなかったのは良心による不服従行為」だと主張した。カン氏の弁護人は「再犯の恐れがあるとの理由で届け出義務を強制するのは、私生活の秘密と自由など基本権を侵害する」としたうえで、「不服従はカン氏が全人生と全人格をかけて守ってきた真剣かつ切迫した倫理的確信の結果だ。刑事処罰を通じて、良心に反する行為を強要することが妥当かどうか、検討してほしい」と裁判部に要請した。カン氏は同日、申告義務を強制し、これを履行しない場合、処罰する保安観察法該当条項に対する違憲法律審判を請求する計画だと明らかにした。検察は「カン氏に対する保安観察処分は、確定判決に基づいたもので、法に則って下されたもの」だと反論した。

 カン氏も同日、法廷での発言を通じて、「国連が、(政府が)私に転向を要求し、苛酷な処罰を下したことに対し、良心の自由と平等権を違反すると指摘したにもかかわらず、大韓民国政府はこれに従っていない」と話した。彼は「人権と民主主義が私たち国民にとって水や空気のように、保障されなければならないものだと信じている。良心と思想の自由、プライバシーの自由はその根幹であり、自由な個人の前提条件だ」と述べた。彼はまた、最近、全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領が自叙伝を出版し、光州(クァンジュ)民主化運動を「光州事態」と規定したことに言及し、「虐殺者は反省していないのに、なぜそれに立ち向かった私には保安観察処分を下すのか」と問いかけた。

 カン氏は全斗換新軍部時代の1985年に安全企画部主導の「欧米留学生スパイ団事件」に巻き込まれて国家保安法違反の疑いで無期懲役を言い渡された後、転向書への署名を拒否した末、14年間の獄中生活を強いられた。カン氏は、国家保安法違反などの疑いで3年以上の刑を言い渡された人を保安観察処分対象者と規定し、届け出義務を強制する保安観察法を守らなかったとの理由で、裁判にかけられた。保安観察処分を受ければ、引っ越したり、10日以上の旅行に出る場合は、3カ月に1度その内容を警察に届け出なければならない。カン氏はこれに先立ち、同じ容疑で2度の罰金刑を言い渡された。

 市民社会では保安観察法が個人の基本権を過度に制限するという批判の声が上がっている。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では「#私がカン・ヨンジュだ」宣言を通じて保安観察法廃止を求める動きが広がっている。

ヒョン・ソウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/792685.html 韓国語原文入力:2017-04-28 22:02
訳H.J(1534字)

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