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映画『26年』を観た5・18生存者…観客席からは「撃て!」

登録:2012-11-28 20:52 修正:2012-11-29 07:25
5・18鎮圧責任者に銃口を向ける場面に…あの日の鬱憤爆発
生存者・遺族 200人余り、映画『26年』観覧
光州(クァンジュ)トラウマセンター主管試写会
女子学生が死ぬ場面ではうつむき
「暴徒」なる台詞には慨嘆のため息
「社会統合に進むには5・18加害者の謝罪がなくては」
試写会に参加して舞台から挨拶している『26年』製作者のチェ・ヨンベ靑於藍(チョンオラム)代表と主演俳優ハン・ヘジン氏、ペ・スビン氏、5・18生存者であるキム・ゴンヒュ氏とカン・ヨンジュ光州トラウマセンター長(右側から)。 光州(クァンジュ)/連合ニュース・ニューシス

「撃て!」

突然客席から上がったこの叫びは、32年間積み上げてきた鬱憤のように聞こえた。映画の中で "1980年5・18光州民主化運動" の犠牲者の遺児が流血鎮圧の責任者に銃口を突きつけ涙を流した時、「早く引き金を引け!」というハルモニ(おばあさん)の声も聞こえてきた。映画の初めの部分で戒厳軍の銃に撃たれた女子学生がはらわたが露わになった姿で死ぬアニメーション場面が出てくるや、見るに忍びないというようにうつむく人もいた。 「その人々は暴徒だったのであり、(鎮圧は)自衛権発動だった」という映画の中の前職大統領の台詞には慨嘆のため息がもれた。

「うちの子が三才のとき夫が死にました。」

 記者と会った60代の女性観客 ファン・某氏は、1980年光州の街頭で夫が軍人に棍棒で後頭部を殴られ、2年後にその後遺症で亡くなったと語った。 「映画のように全斗煥(前大統領)の顔がテレビに出るだけで胸が震え怒りがこみ上げてくるんです。 映画を見て胸が痛みました。 映画に出てくるように被害者は苦しみ続け、 "あの人" は国がずうっと保護してやっているじゃないですか。」

 27日光州市内の映画館で映画『26年』(29日封切り・監督チョ・グンヒョン)の試写会が開かれた。 5・18の生存者・負傷者、犠牲者の家族を含む200人余りが観覧した。 5・18の遺児たちが鎮圧責任者を断罪しようと立ち上がる内容の映画を5・18の当事者が初めて見る行事だった。 製作陣は封切り前までに製作費を後援した1万5000人の市民とその知人たちに映画を前もって見せる3万1000人招待試写会を進めている。

 80年に市民軍として全南(チョンナム)道庁を守ったキム・ゴンヒュ(53)氏は観覧後「望月洞(マンウォルトン)墓地の英霊たちは製作陣に感謝の気持ちを伝えたがっているでしょう」と謝意を表した。「あの人を処断したい私たちの心を表現してくれて、すっきりしました。 主人公 "チンベ" (晋久チン・グ)のように私も全斗煥前大統領のいる所に襲撃に行き捕まってゴミの埋立地に捨てられたこともあります。 映画に出てくるように光州の人々は暴徒でもなくアカでもないのに、いまだに暴徒だと言う人々がいます。 被害当事者の中には今でも酒に頼って苦痛の中に生きている方たちもいます。」

 今回の行事は5・18遺族と生存者の精神的後遺症を治癒する<光州トラウマセンター>が主管した。 センターからの参加者たちは「拷問される夢を見て、5月の花を見ると、血を流したあの日が思い浮かぶ」と言って苦痛を訴えるという。 「全南道庁前の木に向かって「木よ、お前は全部見たではないか。 (我々がどれくらい死んだのか) お前が見たことを話してくれ」と訴える人たちもいたという。 センター側は「5・18流血鎮圧で4154人の死傷者が出、以後に後遺症で46人が自殺をした」と明らかにした。

 前職大統領に銃を向ける射撃選手シン・ミジン役をつとめたハン・ヘジン氏は、試写会に参加して「遺族たちの痛みを果たして私がどれほど共感して表現できるか恐ろしくもあり怖くもあった」と吐露した。 彼女は「映画の最後にクレーンに たった一人で上がって銃を撃ち、その銃声を聞いた時、その音があまりに大きくて恐ろしかった。 犠牲者の方々はどれほど恐ろしかっただろうかと考えると本当に胸が痛かった。 依然として5・18のために辛い思いでいる方々がいるということを知らせなければという気持ちで映画を撮った」と話した。

 高校3年だった80年に銃に撃たれて足を負傷したカン・グヨン(51)氏は「 "あの人" が心より許しを請うて反省するということをしないで、映画のように5・18犠牲者の遺児が直接断罪に出るほかない社会は間違っている」と語った。

 5・18の時に高校生で全南道庁死守隊として参加したカン・ヨンジュ光州トラウマセンター長も、鎮圧当事者の謝罪が必要だと言った。

「許すか否かは被害者の選択の問題だけれども、加害者の謝罪は避けられない義務です。過ちを犯した人間が流血鎮圧の真実も話さないし、謝罪もしないでいます。 私たちの社会が和解と統合に進むためには、5・18流血鎮圧に関する真相究明と加害者の謝罪から先ず成されなければなりません。 加害者断罪という荷物まで5・18の2世たちに負わせるわけには行きません。 私たちの社会が共に解いていかなければなりません。」

 試写会が終わった後、俳優たちとの対話プログラムが進行する間、画面には製作費を後援した市民の名前が際限なく流れていた。

光州/ソン・ホジン記者 dmzsong@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/562687.html 韓国語原文入力:2012/11/28 11:16
訳A.K(2328字)

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