電撃的なTHAAD(高高度防衛ミサイル)システム配備に続き、27日、国防部と在韓米軍が近く「実際の運用」に入ると明らかにしたことで、THAADをめぐる攻防が激しさを増している。地域住民の激しい反発と政界の批判にもかかわらず、キム・グァンジン大統領府国家安保室長は同日、ホワイトハウスのハーバート・マクマスター国家安保補佐官との電話で「北朝鮮の挑発の脅威に対抗し、在韓米軍のTHAAD配備が円滑に行われている」と評価した。12日後に大統領選挙が行われる状況で、キム室長が次期政権の外交安保政策に質的変化を強制し、新大統領の選択を封鎖する方向で核心安保懸案を確定するのは、権限を超えた行為だという批判の声があがっている。罷免された朴槿恵(パク・クネ)前大統領を補佐していた参謀が、単に安保状況を維持・管理するレベルを超え、事実上“決定者”のように振る舞っているからだ。
大統領府は27日、資料を発表して、キム室長やマクマスター補佐官が同日午前9時から25分間、最近の朝鮮半島情勢と関連した電話協議を行い、「拡大抑止力の強化を含めた堅固な韓米同盟を通じて軍事的態勢を一層強化しよう」としながら、このように述べたと明らかにした。同日の電話協議で、2人は「北朝鮮の思惑の変化と追加的な挑発抑制を防ぐため、中国など国際社会との協力のもと、強力な対北朝鮮制裁・圧迫を持続していく一方、北朝鮮が戦略的挑発に出た場合は、韓米両国間の緊密な共助のもと、新規国連安保理決議を含め、北朝鮮が耐えられない懲罰的措置を迅速に推進していくことにした」と大統領府は付け加えた。
キム室長が3月に直接米国を訪問し、マクマスター補佐官とTHAADをはじめとする懸案について議論したのに続き、在韓米軍がTHAADの装備を搬入した3月6日とTHAAD配備翌日の同日を含め、合わせて4回にわたり電話協議を行った。THAAD早期配備の決定過程を事実上先頭に立って進めているといえる。大統領選挙が目前に迫った時点で、キム室長が次期政権に負担になりかねない外交安保懸案を決定するのは、行き過ぎた越権行為という批判の声が政界の内外からあがっているのも、そのためだ。
共に民主党のホン・イクピョ選挙対策委員会首席代弁人は「キム・グァンジン室長は、独自で判断するのではなく、大統領を補佐して助言する役割を果たす人」だとし、「まるで自分が安保問題に独自の権限を持っているかのように振る舞うのは、権限の範囲を超えたもの」だと批判した。彼はさらに、「THAADは単純な武器ではなく、外交的・国際政治的意味を持っている」としたうえで、「黄教安(ファン・ギョアン)権限代行は言うまでもなく、米国もこの問題が軍事対決的な側面に突き進むのは、韓国の利益はもちろん、米国の北東アジア外交にも望ましくないことを認識すべきだ」と強調した。
チョン・セヒョン元統一部長官は「国防部はこれまで技術的にTHAADの正常稼働は年末になって可能になるだろうと言ってきた」とし、「結局、次期政権が発足してから、THAADが正常に稼動できるということ」だと指摘した。チョン元長官は、「にもかかわらず、大統領選挙前にTHAADの配備を推し進めたのは、一種の武力示威であり、明白な選挙介入」だとしたうえで、「わずか12日後には、引継ぎ委員会もなく、新しい政権が発足するのに、約2カ月わたる引継ぎ委員会の活動期間を経た歴代政権でも、このようなことはなかった」と話した。
韓国語原文入力:2017-04-27 23:35
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/792653.html?_fr=mt1 訳H.J(1928字)