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船体がゆがみ変形したセウォル号…捜索・調査は時間との戦い

登録:2017-04-11 08:25 修正:2017-04-11 09:41
船首から船尾のいたるところで変形が明らかに 
沈没当時の衝撃で船尾2~3メートル陥没 
引き揚げ・移送の際の不均衡のためという可能性も 
客室を陸地方向に変えず据え置き 
 
埠頭の上のセウォル号がすぐにさびてしまう危険性 
船体内部の捜索は1週間後に可能
セウォル号惨事1090日目の10日午前、全羅南道木浦市木浦新港鋼材埠頭のトランスポーター上に置かれたセウォル号のいたるところに変形または破損した跡が見える=木浦/キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 3年ぶりに陸に帰ってきたセウォル号はこれ以上進むことができないほど弱っていた。セウォル号は沈没・引き揚げ・移動の過程で発生した船体の変形が確認されており、当初の据え置き場所に移すことができず、埠頭岸壁から40メートル入った地点で困難だった旅程を終えた。

 海洋水産部と船体調査委員会は10日、「セウォル号を木浦(モッポ)新港の鋼材埠頭に引き揚げ移動するなかで、船体が曲がったりゆがむなどの変形を確認した。この状態で移動し続けた場合、船体がさらに変形する恐れがあり、安全性を確保しにくいことから、現在の位置にそのまま据え置くことにした」と明らかにした。

 これによって、セウォル号の船体は船尾が埠頭岸壁から陸地側に40メートル入った状態で据え置かれる。海から90度横倒しになった状態で、客室は北側、船底は南側に向けた格好だ。当初、船体の角度を変えて客室を陸地方向に回そうとしたが、これ以上の変形を懸念し、海から引き上げた方向そのままで維持することにした。

 海洋水産部は11日午前9時までに陸上据え置き作業を完了する予定だ。陸上据え置きはセウォル号を支えている8本のモジュールトランスポーターの間に長さ110メートルの支持台3つを挿入し、船体を支えた後、モジュールトランスポーターの高さを調節して外せば完了する。

 海洋水産部は、変形場所について「船体の中間から船尾方向によじれ(ツイスティング)現象と船首から船尾までにしなり(ベンディング)現象を確認した」と説明した。作業チームは、船体の移動に投入されたモジュールトランスポーター600台の油圧ジャッキを活用し、船体の高さを一つひとつ測定してきた。この日は作業チームが移動作業の直前に肉眼でも船体の変形を確認し、追加の移動は危険という判断を下した。実際に移動中の船体を見ると、船首の方はあまり傾いていない一方、大部屋など客室が密集しており増・改築がしばしば行なわれた船尾の方は大きく傾いている状態だ。

 セウォル号が変形した具体的な原因は、今後、船体の調査を行えば確認できるものとみられる。セウォル号が当初沈没した過程で、海底面に衝突し、船尾が2~3メートル陥没し、この過程で衝撃を受け船体が変形した可能性がある。また、沈没した海底面から引き上げられ半潜水式運搬船に載せられる際にも船体に圧力が加わった可能性もある。半潜水式運搬船からバランスを調節しながら埠頭に陸揚げしたり、高低に微細に差がある埠頭の平坦面を移動する過程でもバランスが合わずに曲がったりゆがんだりした可能性もある。イ・チョルジョ海洋水産部セウォル号現場収拾本部長は「船体の変形には非常に複合的な原因があり得る。弱くなった船体の状態が最も重要だが、一部分だけを断定するのは危険だ。すでに半潜水式運搬船に船舶を載せた状態でもある程度の変形があったと推論してきた」と明らかにした。海洋水産部も「船体が沈没したときの衝撃が大きく、水中に3年間も浸かっていたので、船体自体がひどく弱っている。そのため、引き揚げたり移動する過程で変形が起こり、ついに英国のコンサルティング会社もこれ以上は移動できないと判断した」と確認した。4・16家族協議会と未収拾者の家族たちは「船体を破損させてはならず、作業者の安全を保障することが重要だ」としてこれを受け入れた。

 船体が陸地に近づくにつれ未収拾者の捜索と事故の原因調査などが続く。このような作業は、船体がただでさえ、弱っているうえ、急速に錆が生じ、時間との戦いが予想される。

 船体の内部捜索は1週間後に行われるものとみられる。まず腐食を防ぐため、船体外部を洗浄して、疾病を予防する船体内部の防疫を行う。続いて内部に進入し、酸素濃度、有害ガスなどを調査する危害度調査と内部の鉄板の厚さなどを測る安全度の検査を行う。この間に船体に進入するため、作業の欄干(ワーキングタワー)と通路足場などを設置する作業も実施する。

 海洋水産部は「事前作業が終わり進入路が確保されれば、細部的な捜索計画を立てる。今週末か来週初めまでに作り公開する」と明らかにした。

 引き揚げ作業が事実上完了されたことで、船体調査委員会の動きも忙しくなった。キム・チャンジュン船体調査委員長は「現在の位置での据え置きが諮問をきちんと受けたかどうかも検証する。しかし、据え置きの方向が未収拾者の捜索と事故の原因調査に影響を及ぼすものではないと思う。客室を陸地の方向に変えるという目的は作業状況を透明に公開し、不信を払おうとしたもの」と話した。

 船体調査委員会は7日から3日間、英国の鑑定機関「ブルックスベル」を通じて船体の外観を検証した。今後、金属・機械分野の専門家たちの鑑定も受けることにした。船体から回収された泥251立法メートルが固まる前に洗浄し、遺留品を探す作業も2~3日以内に行えるように提案することにした。

木浦/アン・グァンオク、ファン・クムビ記者、世宗/パン・ジュンホ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/790136.html 韓国語原文入力:2017-04-10 21:45
訳M.C(2452字)

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