海洋水産部が、船体の切断を一方的に強行しないと明らかにしたが、本格的に船体の整理方法が論議されれば、セウォル号の切断問題をめぐり対立が大きくなるものとみられる。政府と遺族の立場が激しく対立しているためだ。引き揚げた船を木浦(モクポ)新港に移した後、未収拾者9人を探し、沈没の原因究明をしなければならないが、海水部は、切断なしには船体の整理が難しいと見ている。遺族たちはむしろ正反対の理由で船体の切断はしてはならないと主張している。
27日の海水部の話を総合すると、半潜水式船舶の上にあるセウォル号は来月4~5日には木浦新港に下ろされることになる。セウォル号が陸上に据え置かれると未収拾者の捜索が始まる。海水部は、内部的には船体の切断が必要だという結論を出した状態だ。昨年専門家らと議論した結果、セウォル号が横たわった状態で客室区域だけを切断しまっすぐに立てた後作業する「客室直立方式」が、時間や安全性の面で最も適していると判断したのだ。
政府が切断を検討するのは、調査の難しさのためだ。3年も海中にあっただけに、内部崩壊の危険が大きく、船体が横になっているため作業環境も劣悪だ。セウォル号の船体は横になった状態で、マンション9階の高さ(22メートル)だ。海水部の関係者は「セウォル号が左に横になっており、今の状態では足を踏み入れる客室への進入路がない」とし、「作業者が船体に入ったり貨物を搬出するために、穴も多くあけなければならない。むしろ切断面がもっと多くなる可能性がある」と話した。作業者の安全事故や作業日程も長くかかると説明した。
一部では横になっているセウォル号を水の中でまっすぐ立てる策を考えなければならないという指摘も出ている。船が1万トン以上の重さのため、いったん陸上に上がればまっすぐ立てるのが難しいからだ。だが、引き揚げ作業を設計する段階から海中で船をまっすぐ立てるという方向で進行したならともかく、苦労して引き揚げたセウォル号を再び海中に入れて立てる作業をするのは相当な負担だ。未収拾者の家族らの同意が必要である。作業上困難も大きい。海水部の関係者は「海中でセウォル号をまっすぐ立てることは「また別の引き揚げ」だ。新たに設計し安定性を点検しなければならない。少なくとも数カ月以上かかる」と話した。海での作業は天気が大きな変数であるため、気象条件も合わなければならない。地上で直立させる方式も難しいのは同じだ。海水部の関係者は「技術的に不可能なことではない。しかし、1万トンを超えるセウォル号を立てるために各種装備を準備するなど、他の大型作業になるだろう」と話した。
問題は政府が選択した「客室直立方式」も相当な危険要因があるという点だ。セウォル号遺族側は「客室部分は沈没当時、船尾を中心にひどく破損され、3年近く海中にあったので壁やパネルがまともではないだろう」とし、「このような状況で、客室の部位だけを切断して持ち上げた場合、客室が崩壊する可能性が大きい」と懸念した。4・16家族協議会のチャン・フン真相究明分科長は「客室が崩壊すれば未収拾者と犠牲者の遺品の収拾も困難になる」と話した。
セウォル号特別調査委員会のパク・フンソク元調査官は「セウォル号の船体は事故原因を究明する最善の証拠物であり、最後の証拠物」だとし、「このような船体を三等分するということは事実上、証拠物としてセウォル号を毀損するという意図に映る余地が大きい」と話した。
政府も遺族たちの反対を考慮したかのように一歩退いた。セウォル号が据え置かれれば、まず切断せず未収拾者の収拾に取り組む方針だ。船体の切断問題については、様々な意見を聞くと明らかにした。海洋水産部のキム・ヨンソク長官は同日午後、政府世宗庁舎で記者団と会い、「船体の切断など既存の計画に執着せず、未収拾者家族と遺族、船体調査委員会と十分な協議を通じて、円満にみんなが共感する方向で推進する考えだ」と話した。