韓国は現在政権交代の過渡期であり、米国は数カ月前にドナルド・トランプ新政権が発足した。朝鮮半島情勢は転換期だ。今後「北朝鮮核問題」など、朝鮮半島情勢の主要な問題にどのようにアプローチすべきだろうか。中朝関係の専門家であるジョン・ディラリー延世大学国際大学院教授は「北朝鮮核問題の進展は、米国が直接北朝鮮を相手にしたときに成されるだろう」と話した。「中国役割論」については「米国にイスラエルの核放棄を引き出せと要求するのと同じだ」と否定的な見解を示した。ディラリー教授は23日、研究室でハンギョレのインタビューに応じた後、27日追加メールインタビューを行った。
-トランプ政権が対北朝鮮政策と関連して、引き続き「すべてのオプションを考慮している」としている。「軍事的オプション」が選択される可能性は。
「(北朝鮮)政策の検討が軍事的オプションに結論づけられると心配する必要はないと考える。実際、北朝鮮の核を(軍事的な方法で)なくす方法はない。(攻撃した場合は)北朝鮮は報復するだろう。それでは、我々は北朝鮮と戦争をするのか」
-北朝鮮の核問題解決のために、中国役割論が黄金律のように思われている。
「米国の観点から見ると、米国人たちは本当のところ北朝鮮の相手もしたがらない。北朝鮮を相手にすることによって得られる政治的インセンティブがない。お金になることも、(政治家が)票を得られることもなく、象徴となるものもない。米国の政治家の立場では、得にならないということだ。米国人はこの問題が中国の問題になることを望んでいる。
また、米国は60カ国と一種の軍事同盟を結んでいる。一方、中国はたった一つの防衛条約を結んでいるが、それがまさに北朝鮮と締結したものだ。米国政府は1970年代、朴正煕(パク・チョンヒ)の核開発を2回阻止した。ところが中国は北朝鮮を取り締まっていない。米国の視点でみると、これは理解できないことだ。しかし逆に言えば、米国に『サウジアラビアの人権問題を解決し、イスラエルに核兵器を放棄させよ』と言っているのと同じだ」
-4月初めに予定されたトランプ大統領と習近平主席の米中首脳会談に対する期待も出ている。
「北朝鮮は米中関係において(主要な)イシューではない。(北朝鮮問題は)米中関係に影響を与え、米中力学関係の影響を受けるだけだ。北朝鮮核問題の進展は、米国が直接北朝鮮を相手にしたときに成されるだろう。より包括的には、南北関係改善を通じて進展が可能だ」
-米国の外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」への寄稿文で、北朝鮮核問題を解決するための唯一の道は対話と交渉だと書いたのは。
「トランプが交渉に乗り出すという大きな期待を持っていた。トランプは遊説期間中、北朝鮮に対して利口な言及をした。しかし、これまで我々が確認したところでは、(交渉の)可能性はそれほど高くない」
-「核凍結」をはじめ、北朝鮮と交渉を再開するという主張も出ているが、韓米保守陣営はこれをオプションとして考慮していないようだ。
「最近、リチャード・ハース米国外交協会(CFR)会長が、直接的に『(核)凍結は賢明な判断』と主張するコラムを書き、驚いた。彼は保守主義者であり、特に北朝鮮問題について崩壊論などタカ派的な立場を示してきたからだ」
-新しい韓国政府に北朝鮮・北朝鮮核問題を助言するとしたら。
「第一に、新政府は金正日(キム・ジョンイル)総書記ではなく金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長と協議しなければならないので、全体的な対北朝鮮戦略そのものを新たに練らなければならない。金正恩は父親と違う。(韓国の)次期指導者は、金正恩と関係を回復するのにはるかに良い機会を持つものと見る。“並進路線”の後者(経済発展)に集中すれば済むからだ。金正恩は基本的な改革を断行し、市場経済を抹殺しなかった。彼が次期韓国指導者から若干の安全を保障されることができたら、本当に並進路線の後者(経済発展)に集中できるものと思う」
第二に、進歩陣営が次期大統領になるとすれば、むやみに北朝鮮と何かを図ろうとするよりは、“新しいストーリー”を附与すべきだ。韓国の進歩陣営は2007年に帰することを超えた何かを必ず示さなければならない。同じ川に二度はまることはできない。大衆が理解して受けとめられる”動機”が必要だ。若い世代を考慮しなければならない。彼らに最も刻印された(南北間の)事件は、同年代の若者たちが死んだ天安艦事件であるかもしれない。ろうそくデモで噴出したエネルギーが新時代の新しい南北関係を作る方向へ行けるならば立派なことだろう」
韓国語原文入力:2017-03-30 22:05