国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務総長は、北朝鮮がここ数年間ウラン濃縮施設の規模を2倍に増やしており、状況がかなり厳しいと警告した。純度90%以上の濃縮ウランは、核兵器製造に使用される。
天野事務総長は20日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、衛星写真を通じてこのような事実を探知してきたとして、北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)核団地でのプルトニウムの生産とウランの濃縮という二つの“戦線”で核兵器の製造能力を急速に高度化していると明らかにした。
これまで民間研究機関などが、北朝鮮のウラン濃縮施設が2倍に拡張した可能性を提起したことはあるが、公信力のある国際機関の首長が明示的に述べたという点で、重みが違う。原子力機関は2009年、北朝鮮が核査察団を追放して以来、衛星写真と情報機関の情報などに基づき、北朝鮮内の寧辺核団地と他の施設を監視してきた。
天野事務総長は、北朝鮮が保有した原爆の数については推定できないとしながらも、「状況が非常に悪い。新たな局面にさしかかった」としたうえで、「すべての指標が、北朝鮮が自ら宣言した通り進展が見られたことを示す」と警告した。米国と中国当局は、北朝鮮が保有する原爆の数を40個程度と推定していると同紙は伝えた。
天野事務総長は、北朝鮮核問題の解決に向けた外交的合意を支持すると強調しながらも、近い未来に北朝鮮と外交的合意に達する可能性については懐疑的な見解を示した。彼は「この(北朝鮮核)問題は高度に政治的な問題だ。政治的合意が必須的だ。しかし、状況が非常に悪く、楽観視できるような根拠がない」と明らかにした。
北朝鮮が最近、地上噴出実験を公開した「大出力発動機」(ロケットエンジン)の用途と関しては、意見が分かれた。米航空宇宙研究機関のエアロスペースのジョン・シリング研究員は、北朝鮮専門ウェブサイト「38ノース」への寄稿で「今回の高出力エンジンは大陸間弾道ミサイル(ICBM)はもとより、移動式発射台で発射できるいかなるミサイルに搭載されるものよりもはるかに大きい」としたうえで、「これは、弾道ミサイルよりも、人工衛星を打ち上げるための飛翔体に適合するもの」だと主張した。
米国防総省の関係者らは同日、CNNに北朝鮮が実験したロケットエンジンが究極的には大陸間弾道ミサイルに使用される可能性があると主張した。しかし、この関係者らも大陸間弾道ミサイルに新しいエンジンを使用するために、いかなる調整が必要なのかについてはまだわからないとして、米国防総省が現在分析中にあると話した。