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卵巣癌で死亡したサムスン半導体労働者に初の労災認定

登録:2016-01-29 23:47 修正:2016-01-30 05:56
卵巣癌に罹り30代に亡くなったサムスン半導体労働者に初めて業務上の災害を認める裁判所判決が下された//ハンギョレ新聞社

 卵巣癌に罹り30代で亡くなったサムスン半導体労働者に対し、業務上の災害を認める裁判所の判決が下された。 半導体労働者の卵巣癌発病に労災を認めた初めての事例だ。

 ソウル行政裁判所行政2部(裁判長パク・ヨンウク)は、卵巣癌で亡くなったサムスン半導体の労働者イさんの父親が勤労福祉公団を相手に起こした遺族給付および葬儀費用不支給処分取消訴訟で、原告勝訴の判決をしたと29日明らかにした。

 裁判所は「卵巣癌が発病した原因が医学的に明確に究明されてはいないが、作業場で勤務中に有害化学物質に長期間露出し、昼夜交替勤務をしたことにより疲労、ストレスが累積したと見られる」として「このような有害要因が複合的に作用して卵巣に悪性腫瘍が発生したと見られ、疾病と業務の間に因果関係がある」と明らかにした。

 裁判所は特に、稀少性腫瘍である卵巣癌の場合、発病原因に対する因果関係を多少緩和された基準で判断しなければならないと明らかにした。 裁判所は「卵巣癌は発病率が低く、医学的に十分に研究された他の疾病に較べて因果関係に対する証明の程度が緩和される」として「労災補償保険制度の目的等に照らして、勤労者に責任のない理由で事実関係が究明されない場合、証明責任において弱い立場にある勤労者に不利になるよう認めることはできない」と明らかにした。

 1993年に17歳でサムスン電子に入社したイさんは、半導体事業部温陽(オニャン)事業場で6年2カ月間勤めたが、1999年6月に嘔吐と腹部膨張などによる健康不安で会社を辞めた。 そして翌年24歳だったイさんは卵巣の境界性腫瘍という診断を受け、2012年に36歳の時に卵巣癌に転移して亡くなった。 イさんの父親は勤労福祉公団に対し遺族給付と葬儀費用を請求した。 しかし公団が疫学調査の結果「業務関連性が低い」としてこれを棄却したため、イさんの父親は訴訟を起こした。

 今回の判決はサムスン電子が行っている職業病被害補償と関連して波紋が予想される。 補償委の基準によれば、卵巣癌は業務関連性が低いと評価され、治療費の相当額のみを支給する「3群疾患」に含まれているためだ。 「半導体労働者の健康と人権を守る会」(パンオルリム)は「“社会的扶助”という補償の趣旨に合うよう、すべての被害者に治療費だけでなく最小限の生計費が保障されなければならない」として「一方的に進行されている補償基準と手続きに対して再検討が必要だ」と主張した。

ノ・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/728481.html 韓国語原文入力:2016-01-29 15:13
訳J.S(1177字)

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