昨年9月、「チェ・スンシル国政壟断」事件が起きた後、一貫して全ての疑いを否認してきた朴槿恵(パク・クネ)前大統領が、検察の取り調べでいかなる供述をするかが注目される。朴前大統領の主張が憲法裁判所でほとんど否定されており、刑事不訴追特権がない民間人となった朴前大統領の態度に変化があるかどうかも関心事だ。
朴前統領は昨年10月25日、1回目の国民向け談話を皮切りに、核心の疑いに対する自分の立場を7回にわたり直接明らかにした。サムスンなど賄賂罪の容疑について、朴大統領は1月1日、大統領府担当記者懇談会で「(特検が)完全に仕組んだこと」だとし、「(サムスン合併は)国民年金がうまく対処して欲しいと考えてはいたが、手助けするよう指示したことはない」と話した。ミル・Kスポーツ財団の設立と関連し、職権乱用による権利行使妨害の疑いについては、先月27日の弾劾審判最終弁論で文書を通じて「全国経済人連合会主導で、文化・スポーツ財団が作られているという知らせを聞いて企業が、私と志を共にしてくれたことがありがたかった。いい趣旨から設立された財団の善意が私が信じた人の過ちで歪曲され、寄付を贈賄と誤解させたことになり、残念だ」と否認した。朴前大統領は、大統領府の文書流出の指示など公務上秘密漏洩の疑いについても、1回目の国民向け談話などで「一部の演説文や広報物の表現などを手伝ったもらったことはあるが、大統領府補佐システムが完備されてからは止めた」と述べた。文化芸術界のブラックリストについても、1月25日に行われたチョン・ギュジェTVとのインタビューで「知らない」と完全否定した。
朴前大統領は弾劾審判の代理人団と検察の捜査の弁護人を通じて、同じ内容を何度も明らかにした。5カ月以上、同じような主張を一貫して展開したことから、検察捜査でも似たような供述をするものと予想される。これに対して検察関係者は「昨年の検察特別捜査本部で当時の現職大統領を被疑者として立件した時から、すでに朴前大統領の容疑の関連証拠を揃えた」と自信をのぞかせた。
一部では、朴前大統領の主張を憲法裁がすべて認めず、従来の立場を貫くのは難しいとの見通しも示されている。いつでも逮捕・拘束が可能な民間人となったことも無視できない。実際、朴前大統領は「暴言弁論」を展開したキム・ピョンウ弁護士などを除いて弁護人団を構成した。弁護人団は「誠実な調査」、「積極的に協力」、「検察が求める日時に出席」など、これまでよりやや緩和された姿勢を示した。また、他の検察関係者は「朴前大統領が自分の容疑に対する立場は一貫しているが、民間人として取り調べを受けることになったうえ、憲法裁の決定が下されただけに、認めるべき部分は認めることが本人にも有利に働くかもしれない」と話した。
朴前大統領の“知らぬふり”だけでなく、“翻訳機”まで登場するほどの短い文章やとんちんかんな答え、非文が混ざったしどろもどろな話し方も、検察が越えるべき壁として指摘されている。朴前大統領は1月1日、大統領府記者懇談会でも疑いを全面否認しただけでなく、「それは…それで…それだから…また…」を連発するまとまりのない言い方でも話題になった。