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[コラム]「大統領朴槿惠罷免」以後

登録:2017-03-13 22:55 修正:2017-03-14 07:08
「ろうそくと共にした日はすべていい日だった」をテーマに第20回ろうそく集会が開かれた11日午後、ソウル光化門広場でろうそく集会を終えた市民たちが爆竹を打ちあげている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 

 危機とは、古いものが消える一方で、それに代わる新しいものが現れない状況をいうという。古い朴槿恵(パク・クネ)は消えたが、それに代わる新しいものは果たして何か。今後二カ月以内にある選挙で誰が大統領になろうが、その「新しいもの」を作り出すことができなければ、ろうそく革命は「半ばの成功」に終わるほかはない。

 朴槿恵の不服従とは関わりなく、大韓民国の歴史は今後「3・10以前」と「以後」に分けられるに違いない。少なくとも韓国政治史はそのように記録されるだろう。それほどに国家の最高権力者を国民の力で席から引きずり下ろした意味は大きい。

 4カ月あまりの間に20回にわたりソウル光化門(クァンファムン)をはじめ全国各地の街頭にあふれ出た1700万のろうそく市民の力が絶対的な原動力だったが、何よりも今回の弾劾事態が流血を伴わずに平和的に終えられたことは、あえてニューヨークタイムズの表現を借りるまでもなく「韓国民主主義」の進化であり発展で誇りだ。韓国民主主義は、ろうそく名誉市民革命と憲法裁判所の全員一致の大統領罷免決定を通じて、もはや後戻りできない民主主義の強固な陣地を構築することに成功した。手続き的民主主義の最高峰に上がったことで、世界のどこに出しても堂々と自慢してもかまわないほどの偉業だ。

 第二に、大統領朴槿恵の罷免はそれだけでなく彼の父親である朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領に深く根ざしたいわゆる「朴正煕パラダイム」もあわせて退場させる転機を作った。これまで大統領朴槿恵が見せた行動は「リトル朴正煕」と言っても過言ではなかった。政治・社会的には権威主義が復活し、経済的には政経癒着と官冶経済が再び頭をもたげた。開放・疎通・共有に代表されるウェブ2.0時代に、一方的・密室・独占という突拍子もない維新時代の風潮が官界と社会の空気を支配した。外治も国益よりは大統領個人の人気と体面管理が優先されることが多かった。大統領朴槿恵に対して提起された5つの弾劾理由は、煎じ詰めればすべて古い朴正煕パラダイムを出発点としているという点で、今回の結果は「脱朴正煕パラダイム」勢力の勝利だと言って差し支えない。

 また、朴槿恵の罷免は、これまで韓国社会を強固に支配してきた冷戦・保守既得権勢力の弛緩・分裂・解体を促進する起爆剤になるだろう。すでに国会で弾劾訴追案を処理する過程で、冷戦・保守-嶺南(ヨンナム)覇権主義の牙城だったセヌリ党の分裂と、そこから離脱した比較的合理的な保守指向の議員が「正しい政党」を作ったことは非常に象徴的な事件だ。また弾劾決定以後、朴槿恵に対するコンクリート支持基盤である大邱(テグ)・慶尚北道地域で、若年層と高齢層の反応が交錯したり、キム・ビョンウ、キム・ジンテのような極右人士の弾劾決定不服扇動が、これまで弾劾反対集会に出てきた人々にさえさほど大きな共感を得られていないことを見れば、世の中は確かに変わった。こうした点で、罷免以後に民間人朴槿恵が三日間大統領府に籠城した後、12日夜になって三成洞(サムソンドン)の自宅に帰って出した「事実上の不服宣言」は、彼女の姑息さだけを表わした。最後まですっきりしない態度は、最小限の同情心も奪い取り罷免が結局は正しかったことを再確認させるだけだ。

 危機とは、古いものが消える一方で、それに代わる新しいものが現れない状況をいうという。古い朴槿恵(パク・クネ)は消えたが、それに代わる新しいものは果たして何か。今後二カ月以内にある選挙で誰が大統領になろうが、その「新しいもの」を作り出すことができなければ、ろうそく革命は「半ばの成功」に終わるほかはない。

 朴槿恵を罷免に至らせた国政壟断が、政経癒着と権力監視・牽制不能の中で始まり大きくなったという点を考えれば、その積弊の清算も政経癒着からの脱皮と監視・牽制機能の強化に求めるのが当然だ。今回の政経癒着の実行犯を懲治するに終わらず、商法改正などを通して制度的に政経癒着を防ぐ制度的改善が必要だ。国民の機構であることを放棄して、権力者個人の機構に転落した検察をはじめ国家情報院、警察など権力機関の改革は必須で緊急だ。腐敗権力のラッパ吹きの役割を忠実に果してきた公営放送も同じだ。

オ・テギュ論説委員室長 //ハンギョレ新聞社

 ろうそく革命を導いたのは、忍耐と自制力を持って街頭で圧力を加えてきた市民の功だが、政治がまともに作動していたならば市民が真冬の厳しい寒さに苦労する理由もなかった。したがって、市民の要求と乖離している現在の政党・議会・選挙制度は必ず改革されなければならない。ボトムアップ式の公認、比例代表制の拡大、中・大選挙区制の導入だけでなく、情報技術革命と共に実現可能性が高まった国民リコール制を含む直接民主主義要素の強化が、政治改革の核心目録に載らなければならないだろう。これまでは腐敗した権力者を追い出すことに注力したとすれば、今からは腐敗した権力者が出てこない土壌作りに目を向けなければならない。

オ・テギュ論説委員室長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/786330.html 韓国語原文入力:2017-03-13 19:04
訳J.S(2198字)

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