10日、憲法裁判所の大統領職罷免の判決で、刑事不訴追特権が剥奪された朴前大統領の捜査に注目が集まっている。検察が“犯罪の重大性”を考慮し、朴前大統領を拘束捜査する可能性もあるが、朴前統領に対する同情世論と共に、直ちに大統領選挙政局に入った政界の状況も無視できないと見られる。
検察特別捜査本部(本部長イ・ヨンヨル)は早ければ来週初め、朴前大統領側と事情聴取時期をめぐって調整に入る見込みだ。これまで、朴前大統領は様々な理由を挙げて事情聴取を避けてきた。朴前大統領は先月9日、パク・ヨンス特別検察官チームから、大統領府敷地内で非公開の事情聴取を受けることに合意したが、このような事項が事前に報道されたことを理由に、一方的に取り消した。昨年11月には検察の事情聴取も拒否した。しかし、大統領職の罷免で刑事不訴追特権が消えたことで、検察は朴前大統領が事情聴取を拒否した場合、強制捜査に乗り出すことができる。検察は事情聴取を行ってから、朴前大統領の拘束するか否かを決定する方針だ。
捜査論理からすると、検察は朴前大統領を拘束捜査しなければならない。彼女の主要容疑である収賄金額が大きい上、相対的に罪が軽い賄賂供与者のイ・ジェヨン副会長(サムスン電子)が拘束されているからだ。また、朴前大統領がこれまで自分をめぐる容疑を否認してきただけに、証拠隠滅の恐れもある。ある検察関係者は「賄賂の金額などを考慮すると、拘束捜査を行う必要がある。公平性の面からしても、朴前大統領を拘束捜査しなければ、かえって前大統領に対する特権と見られるかもしれない」と話した。
同日、キム・スナム検察総長も、憲法裁の弾劾決定直後「緊急幹部会議」を開き、「検察は法と原則に則って検察本来の任務を遂行しなければならない」として、「各種犯罪に対して断固として厳正に対処するよう」指示した。検察特別捜査本部の関係者は8日、「朴大統領の弾劾が認容されれば、拘束捜査を行うのか」という記者団の質問に「何も決まっていない」と述べた。
ただし、実際、朴前大統領の拘束捜査を行うには、様々な困難が伴う。朴前大統領の罷免によって大統領選挙の局面に突入しただけに、政治的状況を考慮しなければならない。このため、検察が朴前大統領の事情聴取や拘束令状請求の時期などを大統領選挙後に先送りする可能性もある。親朴系と保守団体を中心に「前職大統領の礼遇問題」が提起され、大統領選挙で当選した側も国民大統合の面から朴前大統領を在宅起訴すべきとの見解を示す可能性もある。検察は大統領選挙と関係なく捜査を進めるとの立場を明らかにしたが、“敏感な事件”に対する政治的状況を考慮せざるを得ないものと見られる。