登録 : 2017.02.18 01:13 修正 : 2017.02.18 07:04

国家情報院の「北朝鮮の仕業」主張広がったが 
物証なく、関連性見つからず 
 
現地マスコミ「北朝鮮偵察総局が関与」示唆 
警察は「外国情報機関と断定できない」 
中国の官営メディア「体制転覆に向けた」陰謀論も

金正男氏殺害事件から5日目の17日、インドネシア出身女性容疑者の恋人が警察の捜査に協力しているセパン地域警察署。マレーシア警察は北朝鮮側の要請にも関わらず正男氏の遺族がDNAサンプルを提出するまでは遺体を引き渡さないと明らかにした=セパン/シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の異母兄弟の正男(キム・ジョンナム)氏が殺害されてから17日に5日目を迎えたが、彼の死をめぐる論議は足踏みばかりしている。当初事件の黒幕として北朝鮮が名指しされたが、これを裏付ける証拠はなかなか見つからない。

■国家情報院による「北朝鮮黒幕説」

 これまで金正男氏殺害の黒幕は北朝鮮という最も“確定的”な主張は、イ・ビョンホ国家情報院長の口から出た。イ院長は今月15日、国会情報委員会で「金正男氏の暗殺は金正恩政権後、必ず処理しなければならないという命令によるもの」だと報告した。彼は「金正男氏が自分の統治に脅威になるという計算的行動というよりも、金正恩の偏執狂的性格が反映されたものと思われる」と付け加えた。イ院長は、具体的な根拠を示さなかったが、「北朝鮮黒幕説」は簡単に定説となった。

 今月15日、マレーシア捜査当局が直接犯行を行った女性容疑者2人を相次いで捕まえたことで、事件は簡単に解決されると思われた。彼女らが「北朝鮮が雇った多国籍暗殺団」という憶測まで飛び交った。「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」など一部の外国メディアは、「北朝鮮は、女性暗殺要員を積極的に育成・活用する」と報じ、雰囲気を盛り上げた。

 しかし、犯行と逮捕を前後した彼女らの中途半端な行動は“精鋭要員”とは程遠いものだった。彼女らと北朝鮮のつながりを示すものもまだ見つかっていない。逮捕された容疑者らの黒幕とされる、逃走した男性4人の行方も依然不明である。「ニュー・ストレーツタイムズ」は、容疑者の供述内容を取って「逃走した男性のうち、1人が北朝鮮と関係がある」と報じたが、これを裏付ける物証はまだない。

 にもかかわらず、「北朝鮮黒幕説」は簡単に収まらない状態だ。地元紙の「ザ・スター」は17日、情報消息筋を引用し、「マレーシアとシンガポールは(北朝鮮の対外工作活動を総括する)偵察総局が最も好む地域」だとしたうえで、「偵察総局は2000年代序盤からマレーシアを神経ガス製造用に使われる禁止された薬物を北朝鮮に持ち込むルートとして活用してきた」と伝えた。今回の事件に北朝鮮偵察総局が関与した可能性があることをほのめかしたのだ。

■まだ分からない

 現地警察当局の司法解剖の結果、金正男氏の遺体に外傷の痕跡は全くなかった。毒物の散布による傷や注射針の跡なども発見されなかった。捜査当局は解剖を通じて得たサンプルについた化学分析作業に入った。分析結果が北朝鮮との関連性を示すかどうかがカギとなる。

 「ザ・スター」は同日付で、「毒物攻撃による死亡は死因を明らかにするのが難しい。証拠が確定的でないため、分析するのに時間がかかる」という科学捜査の専門家の言葉を伝えた。逃走した4人の容疑者が、早いうちに逮捕されなければ、捜査が長期化する恐れもある。

 マレーシア当局は慎重な姿勢を維持している。国営通信「ベルナマ」は17日、警察当局者を引用して「金正男氏殺害の裏側に外国情報機関があるというのは、現段階としては性急である」と話した。これに先立ち、ザヒド・ハミディ副首相も前日「金正男氏の死の裏側に北朝鮮があるというのは、現在ただの推測に過ぎない」と述べた。

 このような状況を受け、一部からは「北朝鮮黒幕説は陰謀論」という主張まで出ている。中国官営メディアの<グローバル・タイムズ」は17日、「金正恩委員長を金正男暗殺の黒幕に名指しするのは、彼を悪魔化して北朝鮮体制を転覆しようとする目的」だとし、「今回の事件を政治的目的に利用しようとする勢力があるのは明らかだ」と報じた。

チョン・インファン、キム・ジンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-02-17 20:52
http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/783148.html 訳H.J(1948字)

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