北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の腹違いの兄である金正男(キム・ジョンナム)氏(46)殺害事件を捜査中のマレーシア警察は15日、金正男氏殺害の容疑者としてベトナムのパスポートを所有した女性1名を逮捕したと明らかにした。警察はまた、金正男氏殺害事件に関わった他の容疑者数人を追跡している。
この日の現地メディア報道によると、マレーシア警察のカリド・アブ・バカル長官は同日午後声明を出し、朝8時20分頃クアラルンプール国際空港第2ターミナルで金正男氏殺害の容疑者としてベトナムのパスポートを所有している女性を逮捕し、取調べ中だと明らかにした。国際空港第2ターミナルは2日前に金正男氏が殺害されたところだ。同容疑者のパスポート上の名前はドアン・ティ・フォン(29)であり、ベトナム北部ナムディン省出身と記載されている。警察はこの女性が空港の防犯カメラに映っていた女性と同一人物であり、逮捕当時一人であったと明らかにした。アブ・バカル警察長官は「捜査は続いており、他の容疑者らも法に則って処理する」と明らかにした。
現地警察の高位関係者は追加で女性共犯1人と数人の容疑者を追跡していると明らかにした。現地メディアのザ・サン・デイリーは、警察が金正男氏殺害事件に関わった容疑者を6人と把握しており、このうち2人は女性で4人は男性だと報道した。
これに先立ち、英国日刊紙テレグラフは、警察が13日午前にクアラルンプール国際空港で女性容疑者2人を乗せたタクシー運転手を調査した結果、「女性らは自分たちをベトナム人だと言った」という陳述を得たと、高位警察関係者の話を引用して報道した。
マレーシア警察当局は、金正男氏の正確な死因を解明するために遺体をクアラルンプール病院に移して解剖検査を実施した。駐マレーシア北朝鮮大使館は、現地当局に遺体の引渡しを要請したが、マレーシア警察がこれを拒否したと外信が報道した。セランゴール州警察局のファドジル・アフマト副局長は「北朝鮮政府から遺体の引き渡し要請を受けたが、先に解剖検査を実施する予定」だと明らかにした。
一方、イ・ビョンホ国家情報院長は、この日国会情報委員会の懇談会に出席し、「金正男の暗殺は金正恩委員長の就任後、必ず処理しなければならない命令(スタンディングオーダー)」だと明らかにしたと、共に民主党所属の国会情報委員会幹事であるキム・ビョンギ議員が伝えた。
「スタンディングオーダー」は、取消指示がない限り最後まで遂行しなければならない命令を指す。金正男氏は2012年4月、金正恩委員長に手紙を送り、「私と私の家族に対する報復命令を取り消してほしい。私たちは行くところも隠れるところもない。逃げ道は自殺だけだということをよく知っている」と訴えたが、受け入れられなかったという。