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金正男氏殺害、中朝関係のさらなる悪材料になるか

登録:2017-02-16 03:18 修正:2017-02-16 09:37
北朝鮮が黒幕と確認されれば、「中国保護を侵犯した」ことに 
“親中派”に“レジームチェンジ”用のカードとの説も 
中国、ひとまず静観の構え…米朝関係にも悪影響
環球時報などの中国メディアが今月15日、北朝鮮の金正恩労働党委員長の異母兄弟の金正男氏の殺害を主要ニュースとして報道し、大きな関心を示した=北京/聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の異母兄弟の金正男(キム・ジョンナム)氏(46)の殺害疑惑は、弾道ミサイル発射によって関係が悪化した中朝関係にもう一つの深刻な悪材料になる可能性がある。

 中国当局が「事実関係の確認が優先されるべき」として、慎重な姿勢を見せている中、殺害事件の全容はまだ明らかになっていないが、もしその黒幕が北朝鮮、特に金正恩労働党委員長に特定されれば、大きな波紋を呼ぶものと見られる。金正恩委員長の執権後、正男氏が多くの時間を北京やマカオなど、中国で過ごしたことについて、北京の外交関係者の間では、中国が正男氏を保護しているという観測が“定説”とされてきた。このような脈絡で、中国は「北朝鮮が正男氏を除去した」ことを「北朝鮮が中国の保護区域を侵犯した」いう意味として受け止める可能性が高い。

 さらに、正男氏は幼い時から“父親の不在”を補ってくれた叔父の張成沢(チャン・ソンテク)元労働党行政部長と親しかったため、中朝交流で重要な役割を担っていた張元部長とともに、「親中派」に分類されることもあった。中国当局は認めていないが、一部では北朝鮮の「政権交代」(レジームチェンジ)に備えて、中国が金正恩に代わるカードとして彼を管理してきたという見方もある。このような側面からも、北朝鮮が正男氏を暗殺したことが確認されれば、中国の怒りに火をつける恐れがある。張元部長が処刑された翌年の2014年、中朝交易は2000年以来初めて減少(-2.4%)を記録した。

 ただ、マレーシア当局の捜査など、事実関係が確認できるまで、中国は事態の推移を静観する構えだ。金正日(キム・ジョンイル)総書記の誕生日である光明星節(16日)を迎え、15日午後、北京の北朝鮮大使館が開催したお祝い行事には王家瑞・全国政協副主席など中国高官らが出席した。先月24日、平壌(ピョンヤン)中国大使館と先週北京の北朝鮮大使館ではそれぞれ春節(旧暦の正月)行事が開かれた。一方、今月12日、北朝鮮の弾道ミサイル発射と関連して国連安全保障理事会が全会一致で採択した言論声明に参加したように、中国は「国際社会が合意した対北朝鮮制裁には参加する」という基調を維持するものとみられる。

 米朝関係にも悪影響が避けられない。米国政府も慎重な姿を見せているうえ、現在いかなる対話や交渉も進まない米朝関係の現実上、金正男氏の殺害がただちに米朝関係に及ぼす直接的な影響は大きくないと思われる。ただし、短期的には北朝鮮に対する米国内の世論および評判の悪化をもたらし、今後ドナルド・トランプ米政権の対北朝鮮政策の樹立に反映される可能性が高い。

 日本政府は極度に反応を控えた。菅義偉・官房長官は15日、定例記者会見で「政府は今朝合同情報会議を開催し、韓国やマレーシアなど関係国と連携して情報収集と分析を行っている」と述べるにとどまった。

北京、ワシントン、東京/キム・ウェヒョン、イ・ヨンイン、キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/782814.html 韓国語原文入力:2017-02-15 19:46
訳H.J(1568字)

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