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潘基文が不出馬宣言をした理由とは?「ビッグテント」の中止が決定

登録:2017-02-02 03:15 修正:2017-02-02 11:51
最近、プライベートで「やめるべきなのか」と冗談 
週末頃には「下車を検討している」と漏らす 
 
「人格殺人的な中傷」「名誉に大きな傷」 
会見文で”非友好的な環境のせい”にし 
与党の“花形”になることを期待したが、失敗 
専門家たち「リスクを甘受する意思ない」
潘基文前国連事務総長が1日午前、ソウル汝矣島の正しい政党の党本部を訪れ、チョン・ビョングク代表とあいさつしている。潘前総長は同日、セヌリ党、正しい政党、正義党を訪問した後、国会で記者会見を開き、大統領選挙への不出馬を宣言した=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 1日午後3時30分、わずか10分前に記者会見の事実を公知した潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長が国会政論館に登場して準備した資料を読み上げた。最初の文章が始まる時までも、記者たちはもちろん、彼と親しい知人さえそれが不出馬宣言であることを知らなかった。記者会見直前まで潘前総長は、セヌリ党・正しい政党・正義党を訪問して「協治・分権を通じて国民大統合を成し遂げなればならない」として協力を要請した。そんな彼が上着のポケットに「政治交代を果たし、国家統合を実現しようとした純粋な思いを胸の内にしまい込む決定を下した」と書いた会見文を持っているとは。

 前兆が全くなかったわけではない。彼が最近、プライベートで冗談交じりで「支持率が低くてやめなければならないかもしれない」と話す一方、先週末から中心的な側近の間で“下車メッセージ”について悩んでいるという話も流れたが、当時はあまり注目されなかった。

 潘前総長はどうして志を貫かなかったのだろうか。彼は会見文で「(政界の)一部の旧態依然として偏狭な利己主義的態度に極めて失望した」とか、「人格殺害に近い攻撃」、「個人や家族、国連の名誉に大きな傷」という激しい表現を使った。自分の準備不足より非友好的な環境のせいにしたのだ。

潘基文前国連事務総長の支持率の変化(単位:%、詳しい内容は中央選挙世論調査公正委員会のホームページを参照)//ハンギョレ新聞社

 潘総長は同日の会見後に参謀たちと会って「純粋で素朴な志から始めたが、純粋すぎたようだ。政治家たちの中には、気を許して率直に話せる人も一人もいなかった。『政治は専門家に任せてほしい。あなたは専門家でもないのに、なぜ来たのか』と言われた」と打ち明けた。政治を個人の純粋な信念や力量のレベルから捉えていたが、壁を感じ、政界そのものを恨みながら途中下車する道を選んだ本音を露わにしたのだ。彼のある参謀は「潘前総長は帰国直後から『人をたくさん集めて、私に何かあって彼らが傷付けられたら、どうしよう』と言い、すまないと言った」とし、「支持率下落が原因ではなく、政治をするには優しすぎたためやめた」と話した。

 しかし、政界や専門家たちの間では、準備不足による支持率の下落とこれに対応する政治力の不足、そして、危険を甘受しようとしないキャラクターなどが複合的に作用した結果だという分析が多い。

 龍仁大学のチェ・チャンリョル教授は「進歩か保守か志向するところがはっきりしていなかったため、支持層を確保することが難しかった。本人が力不足を感じたようだ」と話した。政治評論家のユ・チャンソン氏は「(非文在寅・非朴槿恵の)ビッグテントを試みたが、そのために接触した人たちが全員否定的な態度に転じたのが決定的だったようだ」と評価した。西江大学現代政治研究所のソ・ボクキョン研究員は「国民が大統領候補を政治集団の代表として見ていることを知らなかったようだ。政党政治の概念がなく、誰とでも手を握って候補になれると思っていたが、いざ(政界に)来てみたら、有権者たちの視線や政治地形の壁に直面した」と分析した。

 「チェ・スンシルゲート」で朴槿恵(パク・クネ)大統領とセヌリ党が没落したのが、結果的には彼の決定的な下車の原因として働いた面もある。「政治コンサルティングミン」のパク・ソンミン代表は「与党が分裂せずに一対一の与野党構図だったら、選択が容易だっただろう」とし、「今は不確実性の高い、混乱した状況なので、アマチュアが方向を定めて解決していくのは困難だったはず」と評価した。セヌリ党のある議員は「当初、潘前総長は、まともな大統領候補がいなかった唯一与党の“花形”になることを期待していたようだ。今日の発表文からすると、自分は何の犠牲も冒険も甘受する意思がなかったものと見られる」と苦笑した。

ソク・ジンファン、ユン・ヒョンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/780971.html 韓国語原文入力:2017-02-01 23:22
訳H.J(1924字)

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