登録 : 2017.01.26 00:37 修正 : 2017.01.31 17:07

 今月21日、ドナルド・トランプ政権のショーン・スパイサー・ホワイトハウス報道官の初めての定例記者会見。前日の就任式報道に不満を抱いた海軍公報将校出身のスパイサー報道官は「マスコミの報道に言いたいことがある」という冒頭発言で口火を切り、「就任式に史上最大規模の人が押し寄せた」という一方的な主張を4分30秒にわたり続けた後、質問も受けず、そのまま記者室を後にした。退場まで4分30秒。

 22日朝刊。「ニューヨークタイムズ」は「トランプ側の主張7つ」を整理して一つずつ反論した。「ワシントンポスト」は、航空写真を使って参加人員は16万人だけだったと分析してから、「“自分の上司”(大統領)に言われて声を張り上げるためにここに来た」ようだったと皮肉った。「ポリティコ」は「地下鉄利用客42万人」という会見内容を引用し、「2009年の就任式には110万人、2013年の就任式には78万人(が参加した)」と比較した。

 23日、78分間にわたり行われた2回目の定例記者会見では、64個の質問が投げかけられた。報道官は「嘘をつくつもりはなかった」と口ごもったかと思えば、詭弁を弄し、やがてしどろもどろになった。マスコミを手なずけようとして、かえってホワイトハウス報道官が手なずけられているようだった。

 ワシントン特派員としてホワイトハウス記者室に初めて入ったときは、“インナー・サークル”に足を踏み入れた異邦人になったような気がした。49の座席がぎっしり並べられているのだが、他の記者たちに「ここは私の席」だと押し出されてから、ようやくすべての座席が指定席だということが分かった。一番後ろの狭い隙間に立っていると、日本や中国の記者、米国の地方紙記者の何人かが私の横に並んだ。報道官は“立見席”には見向きもせず、APやニューヨーク・タイムズ紙など前の席の有力紙記者だけを“下の名前”(first name)で呼びながら、何回も質問権を与えていた。しかし、彼らの質問は手厳しく、答弁が十分でない場合は、同じ質問が何度も繰り返された。

 たまに、韓国の記者会見で「今日のテーマ以外のことは質問しないでください」と言われる場合がある。とんでもない話だ。そうしたいなら、報道資料を配るだけで十分だ。1998年11月、ビル・クリントン米大統領と金大中(キム・デジュン)大統領の韓米首脳会談の後に行われた記者会見で、CNNの記者はクリントン大統領に「ルウィンスキー・スキャンダル」について質問した。別に珍しいことでもない。外国で他国の首脳や長官との会談後に行われる記者会見で、記者たちが“彼ら(外国首脳や長官)の関心事”について質問してくれることはまずない。第3国の首脳が会見場で場違いな客のように立っているのは普通だ。ジャーナリストとは、親切はもちろん、これっぽちの配慮もない人々だ。だから、最近、潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長が12・28合意を執拗に尋ねたある記者に、怒りを隠せない表情で「その質問にはこれ以上答えない」と開き直った時、不思議に思った。国連事務総長まで務めた人が、どうしてあんな風に反応するのだろう。10年間の時差と全くグローバルではない言動など、何が何だかわからない矛盾がいくつも重なって見えたが、私にとってはその反応が最も理解できなかった。

クォン・テホ国際エディター//ハンギョレ新聞社
 2008年米国の大統領選を控えて、ブルッキングス研究所のロン・ネーソン研究員が、大統領選候補たちに「メディアとのコミュニケーションのための10カ条」を提示したが、今でも有効なようだ。絶対偽りを述べず、隠してはならない▽インターネットに注目すべき▽視覚的効果を活用すべき▽記者によく説明すべき▽「オフ・ザ・レコード」はない▽質問をよく聞くべき▽「ノーコメント」という言葉は絶対使ってはならない▽マスコミ戦略を事前に用意すべき▽防御的ではなく攻勢的な態度を先に取るべき▽悪いニュースは自ら先に言うべきの10カ条だ。

 新大統領にはこれ以上「えっと、あの、その」と言わず、記者会見を恐れながらも、耳当たりのいい質問ばかりしてほしいと要請しない人がなってほしい。バラク・オバマ大統領は、最後の記者会見でこう語った。「皆さんの記事を全部好きだったわけではない。しかし、ゴマをするのはジャーナリストの仕事ではない。(皆さんは)私に厳しい質問を投げかけなければならない人だ」。その記者会見は1時間近く続いた。

クォン・テホ国際エディター(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2017-01-25 18:28
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/780253.html 訳H.J(1832字)

関連記事
  • 오피니언

multimedia

  • most viewed articles
    • hotissue