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盧武鉉、李明博、朴槿恵大統領の言葉を分析したところ…ますます権威主義に回帰

登録:2017-01-30 23:39 修正:2017-01-31 06:46
キム・ウンジョン慶煕大学コミュニケーション文化研究所先任研究員の分析 

盧武鉉、謝罪して決心を明らかにする“未来型陳述” 
李明博、「やってみたのでわかるが」という“叙事型陳述” 
朴槿恵、自分の感情を訴える“情緒型陳述” 
ますます権威主義に退行…朴槿恵はテキストがあまりに少ない
朴槿恵大統領が先月29日、3回目の国民向け談話を行っている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 「朴槿恵(パク・クネ)大統領の言語を有意な分析対象として抽出すること自体が非常に難しいことでした」

 歴代大統領の言葉をレトリック論で分析してきた慶煕大学コミュニケーション文化研究所のキム・ウンジョン先任研究員の言葉だ。大統領制において大統領の言葉は統治行為そのものだ。政治家としての大統領の言語は、国民を説得し国政の課題を提示し政治的危機に立ち向かう手段だ。ハンギョレがキム研究員の協力を得て、政治的危機に対処した歴代大統領の言葉をレトリック論の観点から分析した結果、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権以降、韓国の民主主義と政治リーダーシップの退行が明白になった。

 分析対象としては、盧武鉉、李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵大統領が執権中に最も大きな政治的危機を迎えた「ろうそく集会」当時の国民向け談話を選定した。テキスト自体が少ない朴大統領の国民向け談話と条件を一致させるため、盧・李元大統領の分析対象もろうそく集会前後の3回の談話に制限した。このように条件を合わせた分析結果でも、朴大統領の「言語の貧困」現象が目立った。盧元大統領は全部で403の文章で危機状況に向き合い、李元大統領は188の文章で民心を収拾しようとした。一方、朴槿恵大統領が国民向け談話を通じて国民に伝えた文章はたったの56文章だった。

盧武鉉元大統領=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 各自の「自我発言」の性格も大きく分かれた。自我発言は、「私」を掲げる対話法を意味するが、危機の局面に現れた「自我発言」は衝突に立ち向かう個人の特性を最も赤裸々に示す。盧武鉉元大統領は「自分」を表した267の自我発言の中で「未来型陳述」(35%)を最も頻繁に使用した。先に過ちを謝罪した後、今後の決心を明らかにする問題解決方式の能動的言語を主に活用した。「申し訳ありません。責任を痛感します。ところが国民の皆さまはこのように言葉で終わらせる謝罪をされることに疲れ腹立たしいかもしれません。同じ事で再び謝罪することのないようにいたします。必ず責任を取ります」と述べた2014年3月の特別記者会見が代表的だ。選挙法違反などを理由に国会が弾劾訴追案を発議した直後だ。

李明博元大統領=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 一方、李明博元大統領が主に活用した自我発言は「叙事型陳述」(34.8%)だった。自分の過去の経験などに言及しながら共感を引き出す方式だ。「自分がやってみたのでわかるが」に代表される李元大統領特有の経験主義コミュニケーション方式がそのまま表れている。叙事型言術は自分の能力を表すには良い戦略になるが、過度に一般化した場合、教えようとする強圧的コミュニケーションとして受け止められ、説得力を失ってしまうという短所もある。

 朴大統領の自我発言は「情緒型陳述」(47.5%)と分析された。自分の心境を明らかにすることに主眼を置いているという意味だ。「国民の心をなだめるのが難しいという考えに至ると『私はこんなことをするために大統領になったのか』という自己恥辱感を感じるほど辛くて仕方ありません」という談話文が代表的だ。キム研究員は「情緒型陳述が効果を発揮するためには、聴衆との情緒的な共感が前提にならなければならない。国民に事件の全貌を明らかにしないで自分の感情だけを訴えるのは、怒りと嘲弄の対象になるばかりだ」と説明した。

 国民の説得を得るための信頼性戦略でも、各大統領の違いは明確だった。まず盧元大統領は国民を説得するための戦略として「信頼」(49%)方式を最も多く使用したことが分かった。「信頼」方式は、言語と行為が一貫的であり信用できるという評価を聞くための言葉だ。次に「善意」(35%)方式が主に活用された。「親近感」戦略も13.4%使われた。一方、「権力」(0.9%)、「能力」(1.2%)、「理想主義」(0.3%)戦略はほとんど使わなかった。

 李元大統領は「権力」(11.5%)の使用割合が相対的に高かった。「アメとムチ」を提示できるという権力的上下関係を前提にして対話に出たという意味だ。李元大統領は、冒険談や特別さを誇示する「理想主義」(8.6%)、経験と識見を掲げる「能力」(5.7%)戦略もよく活用した。「サラリーマン神話」など李元大統領の政治的資産が言語で表出されたということだ。

 朴大統領は「善意」(41%)を最も多く活用した。自ら推進した政策が国家と国民のためのものという主観的動機を強調したのだ。

 キム研究員は「レトリックの観点から見て、盧武鉉大統領以降、大統領が国民を見る視線とコミュニケーション方法が権威主義時代に回帰する傾向がはっきりしている」とし、「特に朴槿恵大統領の場合、コミュニケーションを基盤に国民を説得する民主主義統治行為とは判断しがたいほどに言語自体が貧弱だった」と指摘した。

 ハンギョレは、盧元大統領の「行政首都移転」、李元大統領の「4大河川事業」、朴大統領の「創造経済」など、国政課題の遂行をめぐる政策手段としての「言語」をレトリック論で比較しようとしたが、分析に失敗した。朴大統領が使用した政策言語が具体性に欠け絶対量が不足し、分析対象とすること自体ができなかったためだ。

ノ・ヒョンウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/780593.html 韓国語原文入力:2017-01-30 17:17
訳M.C(2558字)

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