朴槿恵(パク・クネ)大統領が2015年6月「サムスン物産と第一(チェイル)毛織の合併を支えるよう」直接指示していたことが分かった。サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の経営権継承のための主要課題だった「サムスン物産の合併」を朴大統領が主導して手助けし、サムスンはその見返りとして朴大統領とチェ・スンシル氏側に400億ウォン(約38億6千万円)相当の賄賂を渡したと、パク・ヨンス特別検察官チームは見ている。
16日、特検チームによって職権乱用の容疑などで起訴されたムン・ヒョンピョ元保健福祉部長官の起訴状によると、朴大統領は2015年6月末、アン・ジョンボム当時経済首席などに「サムスン物産と第一毛織の合併が実現できるようきちんと支える」ことを指示した。この指示は、アン元首席秘書官やチェ・ウォンヨン当時雇用福祉首席秘書官、キム・ジンス保健福祉秘書官などを通じて、国民年金公団を管轄するムン・ヒョンピョ元長官に伝えられた。
これを受けてムン元長官は、政府世宗庁舎の福祉部長官室にチョ・ナムグォン当時保健福祉部年金政策局長などを呼んで、サムスン物産合併の経過報告を受けた後、チョ局長に「国民年金公団が合併賛成の議決をしてサムスン物産の合併を実現させなければならない」と指示した。
この指示はすぐに国民年金公団に伝えられた。チョ局長は同年6月30日、ソウル江南区の国民年金公団で、ホン・ワンピョ当時国民年金基金運営本部長に「サムスン物産と第一毛織との合併について、投資委員会で決定しろ。誰でも見当はつくだろうが、福祉部が関わっていることを口外してはならない」と指示した。主に外部の専門家で構成され、「合併否決」の意見を出しかねない「議決権行使専門委員会」に任せず、年金公団内部の人物で構成された基金運営本部内の投資委員会が決定するよう指示したのだ。
内部からも「専門委員会に任せるべき」という反対意見はあったが、黙殺された。ムン元長官は「サムスン物産合併の件は100%確実に実現させなければならない」として、議決権行使問題専門のタスクフォース(TF)を組織し、「専門委員会委員の性向を把握する対応報告書を作成すること」などを指示した。このような措置にもかかわらず、専門委員会に任せては賛成の議決が出るのは困難と予想されたことを受け、ムン元長官は投資委員会が決定するよう指示した。
結局、国民年金公団は2015年7月10日午後3時、投資委員会を開き、サムスン物産の合併に賛成の立場を議決する。このような過程はすべて、アン元首席秘書官とチェ元雇用福祉首席秘書官などに随時報告されており、朴大統領もこの報告を受けた。
7月17日、サムスン物産は、単一の組織としては筆頭株主(11.2%)だった国民年金の合併賛成により、賛成69.5%で可決条件である賛成3分の2を辛うじて超えた。両社の合併比率(サムスン物産1株当たり、第一毛織0.35株)を考慮すれば、サムスン物産株をより多く保有していた国民年金にとっては不利な面があった。