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車椅子の障害者を排除して走る「高速バス」

登録:2017-01-26 23:48 修正:2017-01-27 05:53
高速・市外バス、全国9500台あまりあるが 
車椅子の昇降設備は一つもなく 
交通公団は方法の研究だけで3年目 
障害者団体、バスターミナルで移動権を要求
旧正月を控えた26日、ソウル瑞草区の高速バスターミナルで全国障害者差別撤廃連帯の会員らが「交通弱者の移動の便宜増進法」改正を要求する“正月バス乗車記者会見”に先立ち、バスに乗ろうとしている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「高速バスの車両および運行の諸般の条件により、車椅子の同伴搭乗を希望する障害者のお客様には運送サービスを提供できません」

 祝日を控え、バスのチケットを購入しようとする帰省客が全国高速バス運送事業組合(以下、高バス)のホームページに接続すると、このような案内が現れる。案内文は「高速バス業界ではこのような問題点を改善できるよう継続的に努力しておりますのでご了解ください」と締めくくられる。昨年の名節の時にも高バスは同じ案内文を掲載した。

 現在、全国で運行される高速・市外バスは9500台あまり。どのバスにも車椅子昇降設備がない。折り畳み式車椅子は畳んで貨物スペースに積み込めるが、電動車椅子はバスに「乗車」する方法がない。高バス側は「『車椅子利用者が乗れるバスがない』という内容の案内は、数年前からホームページに引き続き掲載されている案内文だった」とし、「障害者が利用できるバスを作って運営するためには、政府の支援が必要だ」と話した。国土交通部傘下の交通安全公団は昨年11月になってようやく「高速・市外バス改造車標準モデル研究進行計画」を発表した。この研究の中心となる目標は、車椅子(長さ130センチ、幅70センチ、搭乗者を含む重さ275キロ)を乗せる昇降設備設置用バスの改造技術を確保することだが、研究期間だけで今年から3年を予定している。

全国高速バス運送事業組合のホームページに接続すると案内文が載ったポップアップ画面4つが同時に開く。車椅子使用障害者の高速バス利用案内文をはじめ、新設路線やプレミアム高速バスの紹介、旧正月連休の特別前売券のお知らせだ=高バスホームページ画面キャプチャー//ハンギョレ新聞社

 高バスは昨年11月にプレミアム高速バスを導入した。「車椅子は乗せられない」という案内文の隣には、このバスを紹介する「プレミアム高速バス運行案内」の案内文がある。「大韓民国で最高の高速バスを経験してください。最先端の安全装置の設置、リラックスシートおよび独立空間の提供や全座席に個別モニター、テーブル読書などの便宜施設が利用可能。映画・ドラマなどさまざまなコンテンツを提供」。しかし、このバスにも車椅子昇降設備はない。プレミアム高速バスを作ることはできても、車椅子利用者を乗せる高速バスはないということだ。

 全国障害者差別撤廃連帯は26日、ソウル江南(カンナム)高速バスターミナルで、交通弱者の市外移動権の保障を求める記者会見を開いた。3年間続けている記者会見だ。幼い時に突然の高熱症状で脳病変1級の診断を受けたパク・ギョンミさん(43)も参加した。パクさんはハンギョレの電話取材に対し「障害者もバスで旅行に行き、故郷の家にも帰れるようにしてほしい」と話した。パクさんの願いは、バスに乗って江原道や慶尚南道統営(トンヨン)に行って海を見ることだ。2006年1月に制定された交通弱者の移動の便宜増進法(交通弱者法)は「障害者など交通弱者も交通弱者でない人が利用する全ての交通手段を差別なく利用できるようにしなければならない」と規定している。

パク・スジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/780390.html 韓国語原文入力:2017-01-26 20:41
訳M.C(1613字)

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