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[ニュース分析]慰安婦外交は完全な失敗、加害国の安倍首相が声高める

登録:2017-01-09 22:08 修正:2017-01-10 06:55
韓日慰安婦交渉から4年を点検 
朴大統領の韓日首脳会談拒否 
安倍首相一歩後退しても頑なに 
「グローバル同盟」掲げた米国、日本に肩入れ 
当局、ハルモニたちに接触せず、電撃的に合意 
「不可逆的」合意の10億円を受領 
日本「合意の履行した」逆攻勢・脅し
2015年12月28日、ソウル外交部庁舎で慰安婦問題で会談を終えた後、ユン・ビョンセ外交部長官(右)と岸田文雄外相が共同記者会見をしている=キム・ポンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「外交惨事」に帰結した日本軍「慰安婦」問題に対する韓日政府間12・28合意は、解放以後に韓国が独自に推進した幾つもない巨大な外交的挑戦だった。朴槿恵(パク・クネ)-安倍政権の韓日慰安婦軋轢は大きく分けて3幕で進行された。

 第1幕は朴大統領が安倍首相に慰安婦問題解決のための誠意ある「先措置」を要求し、首脳会談を拒否した局面だった。安倍首相は慰安婦制度に対する日本軍の介入と動員過程の強制性を認めた「河野談話」(1993)を検証するとして対抗した。緒戦に勝利したのは韓国だった。戦時に日本が犯した女性の人権問題という人道主義的観点のために、国際社会で日本に肩入れする所はなかった。安倍首相は結局、2014年3月「河野談話継承」方針を明らかにし一歩後退した。ここで慰安婦問題を議論するための韓日局長級協議が始まる。

 しかし、第2幕に入ってから状況が変わり始めた。安倍首相が談話継承の立場を明らかにした後にも、朴大統領は相変らず安倍首相との両国首脳会談を拒否した。朴大統領の硬直的な「一発外交」を憂慮する声が高まったが、(朴大統領は)全く姿勢を変えなかった。結局、2015年春になりアシュトン・カーター米国防長官、ウェンディ・シャーマン米国務部事務次官など米国の高位官僚らが「かつての敵を非難して安っぽい拍手を受けることは簡単だ」と話すなど、韓国側の態度を公開的に非難する。韓国に同情的だった米国政府の雰囲気が次第に韓国「疲労症」に変わったのだ。

 米国は第1次安倍政権期の2007年7月、慰安婦問題に対する下院決議案を採択するなど、普遍的女性人権問題である慰安婦問題に対して強い関心を示してきた。しかし2013年に入り「中国の浮上」という地政学的変化に対抗して、米日同盟を強化し東アジアの力の均衡を合わせようという戦略的選択をする。結局、米国は2015年4月、安倍首相の米国訪問を契機に米日同盟を過去の「地域同盟」から「グローバル同盟」に格上げする。米国が日本側に傾くと、韓国の空間は急速に縮小された。朴大統領は植民支配に対して一言半句も触れない2015年8月の安倍談話を受け入れ、その延長線で12・28合意を受け入れる。以前には過度に硬直し、以後には納得し難いほどに柔軟だった。朝鮮半島をめぐる戦略的情勢変化の流れを読めない朴槿恵外交の破綻だった。

8日、ソウル鍾路区の旧日本大使館前で両親と一緒に少女像銅像を訪れた子供が銅像の服を整えている。安倍晋三日本首相は、この日放送されたNHKの番組「日曜討論」に出演し、釜山だけでなくソウルの慰安婦少女像についても「韓国側がきちんと誠意を見せるべきだ」と話した/聯合ニュース

 2015年12月の慰安婦合意があれほど突然に締結されると予想した人は殆どいなかった。朴大統領が「被害者が納得できる解決策」を口癖のように言っていたうえに、合意締結に先立って当局は被害者ハルモニ(おばあさん)との接触努力をほとんどしなかったからだ。そのため当時ほとんどの専門家は韓国政府が「完勝」は無理でも、日本から「謝罪」と関連した譲歩を多少は引き出して、これを基にハルモニをよく説得して「共感」ムードを作り出すなど、適当な「名分」を蓄積した後に決断を下すものと予想していた。こうした予想を覆して締結された合意は「不可逆的」という日本に一方的に有利な表現、「少女像の撤去」に対する不明な解釈などを抱え込んだままだった。日本ですら「あまりに大勝ちした」として、以後の実行を心配するほどであった。

 以後の3幕は、加害者と被害者がひっくり返った「獣の時間」だった。安倍首相はハルモニに対する謝罪の話をしてほしいという要請も、手紙を送ってほしいという韓日市民社会の叫びも「毛頭」という表現を使いながら一言で切り捨てた。慰安婦問題に対して朴槿恵政権は被害者に「懇請」し、加害者が「拒否」するようにさせた。

 日本はさらに一歩踏み出して、昨年8月に10億円を拠出した後には「日本は合意を履行した」として「道徳的優位」を云々し、韓国政府に「平和碑」(少女像)の撤去を執拗に要求している。濯ぐあたわざる過去の日本の国家犯罪である慰安婦問題が、現在は韓国の少女像撤去問題に逆転した。日本が当然受けなければならない圧迫を韓国が受ける局面にしてしまったのだ。

 「ろうそく集会の民心」に勝てなかった朴槿恵政権が倒れ、安倍首相は8日「政権が変わった後にも合意は履行しなければならない」と急遽脅しをかけている。「朴槿恵-尹炳世(ユン・ビョンセ)外交惨事」が後任政権にまで暗い影を落としている。

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/777943.html 韓国語原文入力:2017-01-09 16:08
訳J.S(2268字)

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