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加湿器殺菌剤メーカーの代表らに実刑…被害者の母親「息子は元の体には戻れない」

登録:2017-01-07 01:23 修正:2017-01-07 03:50
政府疫学調査結果の発表から6年後に下された判決 
シン・ヒョンウ元オキシ代表に懲役7年、ジョン・リー元代表は無罪 
ノ・ビョンヨン元ロッテマート代表、オ・ユジン・セピュ代表なども実刑
加湿器殺菌剤の被害者イム・ソンジュン君が今月6日、ソウル瑞草区のソウル地方裁判所で被害者家族キム・アリョン氏の手を握っている。同日、ソウル中央地裁刑事合議28部は「加湿器殺菌剤死亡事件」の1審判決公判で、シン・ヒョンウ元オキシー代表に懲役7年を言い渡した//ハンギョレ新聞社

 毒性のある加湿器殺菌剤の製品販売で数百人の死傷者を出した製造メーカーの役職員に1審で実刑が言い渡された。2011年、政府が原因不明の肺損傷の原因が加湿機殺菌剤だという中間調査結果を発表し、この問題が公論化されてから6年後の判決だ。

 ソウル中央地裁刑事28部(裁判長チェ・チャンヨン)は6日、業務上過失致死傷などの容疑で拘束起訴されたシン・ヒョンウ元オキシー・レキット・ベンキーザー(オキシー)代表に懲役7年を宣告した。同じ容疑で起訴されたジョン・リー元代表(49)には無罪を言い渡した。

 シン元代表らは2000年10月、吸入毒性実験を十分に行わず毒性化学物質のポリヘキサメチレングアニジン(PHMG)が含まれた加湿器殺菌剤「オキシーサクサク ニュー加湿器当番」を製造・販売して73人が死亡するなど、合わせて181人の被害者を出した容疑で、昨年6月裁判にかけられた。また、製品安全性が検証されていないにもかかわらず、「人体に無害」、「子供にも安心」などと広報し、虚偽の広告をした疑い(表示・広告の公正化に関する法律違反)もある。

 オキシー製品を模倣した製品を発売し、数十人の被害者を出した疑い(業務上過失致死など)で裁判にかけられたノ・ビョンヨン元ロッテマート代表(66)とキム・ウォンフェ元ホームプラスグローサリー買い入れ担当本部長(62)にはそれぞれ禁固4年と懲役5年が言い渡された。また、PHMGより毒性が強い塩化エトキシエチルグアニジン(PGH)が入った製品を製造・販売して27人の被害者を出した「セピュ」のオ・ユジン(41)代表は懲役7年を言い渡された。オキシーやセピュ、ホームプラス法人には1億5000万ウォン(約1460万円)の罰金が命じられた。

 裁判所は「被告人らは、安全性確保のために十分な検証もせず、漠然と人体に安全だろうと信じた」とし「被害者らは、原因も分からぬまま、激しく苦しみ死亡したり、一生補助器具を使用しなければならない」として、業務上過失の責任の大半を認めた。しかし、裁判所は2005~2010年オキシーの代表取締役を務めたジョン・リー氏については「検事が提出した証拠だけでは、注意義務に違反したと見ることはできない」として無罪を宣告した。裁判部は「ジョン・リーに直接報告する関係にあった元外国人役員たちに対する調査も十分に行われていない」と指摘した。昨年ゴラブ・ジェーン元オキーシ代表らが検察への出頭要請に相次いで応じないなど、海外滞在中のオキシー外国人元役員らに対する調査は十分に行われていない。

 裁判所はまた、オキシーやセピュ側が虚偽の文言を掲げて製品を販売して利益を受け取った容疑(特別経済犯罪加重処罰法の詐欺・常習詐欺)については全員無罪と判断した。裁判所は「詐欺罪が成立するためには、人体への有害性を知っていながら被害者たちを騙して金銭を騙取するという犯意がなければならないが、被告人たちは強い吸入毒性はないと漠然と信じていた」と述べた。検察は先月開かれた結審公判で、シン元代表に(特別経済犯罪加重処罰法違反の疑いを含め、懲役20年を求刑した。

 同日、法廷には、加湿機殺菌剤の被害者や遺族らが大挙傍聴に訪れた。オキシー製品を使用し、5年前に2歳の娘を失ったキム・アリョンさん(40)はジョン・リー元代表に向かって「勝ったと思わないで。あなたの良心は(有罪を)分かっているはず」と叫んだ。酸素ボンベをつけて同日の裁判を見守った被害者のイム・ソンジュン君(14)の母親クォン・ミエさん(41)も「ソンジュンは再び元の体に戻ることはできない。(シン元代表が懲役)7年では罪を償えない」と言いながら涙を流した。

ヒョン・ソウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2017-01-06 20:11

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/777741.html  訳H.J

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