中国政府で「THAAD(高高度防衛ミサイル)の在韓米軍配備」問題への対応を担当している陣海・外交部アジア局副局長が昨年末訪韓の際、企業関係者たちに露骨に脅迫するような発言をしていたことが分かった。陳副局長が訪韓当時、韓国外交部関係者には会わなかったことに対しては、「THAAD配備」を強行する韓国政府を外郭から圧迫する“世論戦”を狙ったものとの指摘が多かった。
韓国外交部関係者は4日「陣副局長が昨年末、サムスン、ロッテなど大手企業の副会長などと面談し『THAAD配備の際には断交(外交関係断絶)に匹敵する処置を覚悟しなければならないだろう』と話した」と伝えた。昨年7月、朴槿恵(パク・クネ)政権がTHAADの配備方針を発表してから、中国政府側が「断交」にまで言及したことははじめてだという。外交部の別の関係者によると「陳副局長は、過去にも韓国企業の関係者らに(THAAD配備と関連して)『小国(韓国)が大国(中国)の言うことに耳を貸さない』とまで言ったと聞いている」と話した。
これに先立ち中国政府は昨年11月、THAAD配備の敷地を提供することにしたロッテグループの現地の系列会社に対する税務調査を実施すると共に、ロッテ・デパートの消防点検などを同時多発的に行って、“見せしめ制裁”と指摘された。中国側は1~2月の韓国行き航空機不定期便(チャーター機)も許可せず、団体観光を禁止するという方針(2016年10月)も明らかにした。
しかし、中国政府は公式的には「限韓令」(韓流禁止令)について「聞いたことがない」として、政府レベルの“報復処置”については明確な態度を示していない。キム・ヒョンジン外交部次官補は4日のブリーフィングで「中国外交部の公式ラインがに限韓令に関する質問に“報復”を確認しなかったのは(韓国との致命的な関係悪化を望まないなど)、それだけ中国も複雑な心境であること」だと説明した。
パク・ビョングァン国家安保戦略研究院北東アジア研究室長は、陳副局長の発言をはじめとする中国政府の「THAAD対応」について「中国は、韓国政府にTHAAD配備方針を撤回または延期させる目標を持っている」とし、「水面下で世論戦・心理戦を進めて韓国社会の内部に内輪もめを起こして自然に目標を達成しようとしている」と分析した。
こうした中で、4日に中国を訪問したソン・ヨンギル議員など共に民主党議員7人が、中国外交部の王毅部長と孔鉉佑部長条理(次官補級)と面談した。中国側が韓国の政界に対し、王毅部長まで乗り出して“世論戦”を展開していることに対して、韓国外交部は「高官級協議は一切せず、野党議員に会うのは明確な意図によるものだ」として不快感を隠さなかった。
中国政府と党の内部事情に詳しい中国専門家は「中国政府はTHAAD問題を(北東アジアで)米中の戦略的均衡をゆさぶり南シナ海や台湾問題にまで悪影響を及ぼしかねない戦略的問題とみている」と指摘し、「現在としては同じ話を繰り返す韓国政府には会う必要がないと判断しているようだ」と話した。
同日夕方、王毅部長との約50分にわたる面談の後、訪中団の関係者は「(中国側が)THAAD配備問題を加速化するのは理解し難いと主張した」とし、「核問題解決とTHAADで、互いに核心利益に触れない方向で協議し、議論しなければならない時だと思うと話した」と伝えた。
韓国語原文入力:2017-01-05 06:01