登録 : 2016.12.09 23:53 修正 : 2016.12.10 07:54

9月20日、北朝鮮の金正恩労働党委員長が西海衛星発射場を訪れ、静止衛星の運搬ロケット用の大出力エンジン噴出試験を見守ったと労働新聞が公開した写真/聯合ニュース
 北朝鮮の5回目の核実験(9月9日)に対応し国連安全保障理事会(安保理)が「決議2321号」を採択(11月30日)してから10日め。北朝鮮が黙っているわけはない。北朝鮮は2日、外務省報道官の談話を出して安保理決議は「主権侵害行為」だとし、「強力糾弾、全面排撃」と反撃した。そして「我々のより強力な自衛的対応措置を招くだろう」と強調した。北朝鮮は本当に「決議2321号」に対抗して「言葉の砲撃」を超え「軍事行動」に乗り出すだろうか。

 これに先立ち、北朝鮮は国連が4回目の核実験(1月6日)に対応して「決議2270号」を採択した3月3日、ロケット砲6発を撃ったのに続き、スカッドミサイル(3月10日)→ノドンミサイル(3月18日)→ムスダンミサイル(4月15日)→潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM、4月23日)などの軍事行動の強度を急速に高めた。金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長は「核弾頭を任意の時間に撃つことができるよう、常時準備しなければならない」(3月4日労働新聞)としており、結局5回目の核実験まで至った。

 今回はどうだろうか。専門家を自認する人々や韓国・米国・日本の政府は、北朝鮮が米国の政権交代期に「軍事的対応行動」に乗り出す可能性が高いと見ている。例えばトーマス・バンダル駐韓米第8軍司令官は6日「北朝鮮が30~60日以内に挑発する可能性がある」と見込んだ。多くの人々が「米政権交代期の北朝鮮の軍事挑発」を「定数」のように考えるが、これは歴史的事実に合致しない。

 2000年以降だけを見てみよう。2001年のジョージ・ブッシュ政権発足時には、北朝鮮は「挑発」せず待っていた。ブッシュ政権はネオコンを掲げ、強硬な対北朝鮮政策を予告したが、史上初めて南北首脳会談(2000年6月)と米国大統領の訪朝推進(2000年10月)など南北および米朝関係が「雪解け」した時に発足した。北朝鮮としては「軍事的先制行動」の必要性が高くなかったと言える。

 一方、2009年はバラク・オバマ大統領がチェコのプラハで「核のない世界」という遠大なビジョンを提示した日(4月5日)、北朝鮮は長距離ロケットを発射して水を差し、5月25日には2回目の核実験まで突っ走った。北朝鮮はなぜ、「敵性国」とも対話をするとしてオバマが差し出した手を握るどころか、頬を叩くような無理をしたのだろうか。金正日(キム・ジョンイル)総書記が脳卒中で倒れ、三男の金正恩に「3世権力継承」が行われていた時だったことを想起する必要がある。経験のない3世の最高指導者、金正恩の強靭さを人民に誇示し、リーダーシップの基盤を固めることが急務だったということだ。国内の政治的必要が外交政策を圧倒するのは、北朝鮮だけの特殊性ではない。古今東西の歴史ではよくあることだ。

 ドナルド・トランプ政権の発足を控えた今回はどうだろうか。 金正恩総書記が核実験や長距離ミサイル発射試験をしなければならない緊迫した国内政治的必要性は見あたらない。それなら情勢判断が重要だろう。北朝鮮を長く経験した元高位人士はこのように指摘した。「トランプの最初の対北朝鮮へのメッセージが重要だ。金正恩はその時までは戦略的行動に出ない可能性が高い」。米大統領選挙直後の11月17~19日、スイス・ジュネーブで米国の元要人と接触したチェ・ソンヒ北朝鮮外務省米国局長も「トランプ政権の政策レビューが終わるまでは、米朝関係の扉を閉ざす行動はしないつもりだ」と話したという。ただしチェ局長は「来年2月の韓米軍事演習は例外」だと付け加えた。また、労働新聞などの北朝鮮メディアは、いまだに「ドナルド・トランプ」について触れていない。

 トランプ当選者がどのような北朝鮮向けメッセージを出すか、判断するのは難しい。彼は選挙期間に金正恩委員長を「狂人」と非難したり、「ハンバーガーを食べながら対話できる」などとも言った。ただし、対外政策分野で彼の最優先の関心事は、イスラム国家(IS)など急進イスラム主義勢力への対応戦略であって、対北朝鮮政策ではないという点は明らかなようだ。トランプ当選者はいつどのような北朝鮮向けメッセージを出すのか。北朝鮮は本当にその時まで「軍事行動」をせずに待つのか。国会の大統領弾劾訴追案可決によって、北朝鮮に刺激を与えることにばかり熱を上げていた朴槿恵(パク・クネ)大統領の職務が停止されたのが、せめてもの救いだ。

イ・ジェフン統一外交チーム長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-12-09 21:10
http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/774065.html 訳M.C(2041字)

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