韓国政府の高位級で構成された「トランプ使節団」が訪米し、ドナルド・トランプ米国大統領当選者引継ぎ委員会関係者らに16日(現地時間)から面会し、19日に韓国に戻った。「トランプ政権」のスタートに対する韓国の外交戦略を立てるための対応か、韓国メディアに見せるための対応か、紛らわしい。
大統領府のチョ・テヨン国家安保室1次長を団長とする「政府高位実務代表団」が米国を訪問したのは16日だった。その日の夜、ホワイトハウス国家安保補佐官内定者のマイケル・フリン元国防情報局(DIA)局長との面談日程が確定し、携帯電話を通じてホテルにいた代表団に携帯メールで伝えられた。政府のすばやい対応をメディアに見せるために、日程が確定していないのに米国の地を踏んだという話だ。
訪米の実質的内容を見ても、両国間の議論ではなく、韓国政府の立場を説明することだけに重点を置いたと見られる。チョ・テヨン1次長は訪米の成果を説明して、フリン内定者が韓米同盟を「『核心的同盟』(vital alliance)と明らかにした」と紹介した。
ところで米大統領選挙の過程で在韓米軍撤収など韓米同盟問題が大きな話題になったのは、在韓米軍の駐留分担金のためだった。だが、チョ次長は分担金問題についてはフリン内定者と話をしなかったとし、徐々に具体的に説明するとだけ明らかにした。
チョ次長はTHAAD(高高度防衛ミサイル)、韓日軍事情報保護協定問題などについても具体的な議論はなかったと述べた。国防部の高位関係者まで含まれた政府代表団が、1時間にわたりフリン内定者に会って、国民が懸念している安保懸案関連質問をしなかったということは納得が行かない。韓国の政策を説明することが代表団の任務の半分とするならば、今後の外交戦略樹立のための土台に相手側の意中を聞き込むことが残りの半分であるためだ。
そのうえ最も重要な職責の一つである国務長官はまだ内定しておらず、有力候補らが絶え間なく変わっている。
それでも内容さえあるならば、政府がメディアに広報しようとすること自体を批判したくはない。だが、トランプ行政府準備チームが心の余裕がなく、内容ある議論も難しく、人選すら終わっていない状況で、面談日程も確定していない政府代表団の突然の訪米は、どうも釈然としない。“5%支持率”朴槿恵(パク・クネ)政権の健在を誇示する狙いとしか見えない。