朴槿恵(パク・クネ)大統領が15日に弁護人を通じて「最小限の調査」にのみ応じることを明らかにし、「朴槿惠・チェ・スンシルゲート」の捜査を陣頭指揮する特別検事の役割がいつになく重要になった。しかし、与野党が電撃的に合意した特検法案が、特別検事候補の資格を過度に狭めている上に、過去の特検捜査の失敗の原因に挙げられている一部の毒素条項もそのまま含まれており、修正が必要だという指摘が出ている。
与野党が14日に合意した「朴槿恵政権のチェ・スンシルなど民間人による国政壟断疑惑事件の究明に向けた特別検事の任命などに関する法律案」(朴槿惠・チェ・スンシル特検法案)は、特検候補の資格を「15年以上の判事または検事出身の弁護士のうち、共に民主党と国民の党が合意した候補2人」と規定している。このうち1人を捜査対象である朴槿恵大統領が選ぶ仕組みだ。
特検の推薦権を持った野党は「判事出身であれ検事出身であれ、捜査をきちんとしさえすれば良い」とし、候補探しに乗り出した。過去11回の特検を見ると、判事出身の特検が6人、検事出身が4人、軍法務官出身が1人だ。判事出身の特検の場合、捜査能力の面で検事出身より劣るだろうという懸念もある。しかし、刑事裁判専門家の判事出身であるイ・クァンボム弁護士が担当した2012年の李明博(イ・ミョンバク)大統領の内谷洞(ネゴクドン)私邸敷地購入疑惑事件の特検は、比較的成功した特検と評価される。さらに今回の事件は、検察内の「ウ・ビョンウ師団」まで捜査線上に並べられるが、検察捜査に対する不信から開始した特検の捜査過程で検察出身の特検は身内びいきする可能性もある。
反論も出ている。権力型腐敗事件が専門のある弁護士は「一つの単一事件ならば判事出身でも可能だろうが、今回の事件は現職大統領と実力政治家、主要財閥の総帥まで多くの権力型不正と腐敗事件が網羅されている。捜査の経験が豊富な検察出身者を探すべきだ」と助言した。
ただでさえ「実力があり信頼できる」特検候補の枠が狭い状況で、法曹界の一部からは「15年以上の検事・判事の経歴を持った弁護士」を特検の資格要件とし、また期間の制限なしに「過去に政党の党籍を持った人」は無条件に特検から除外するよう定めた特検法案を見直さなければならないという指摘が出ている。従来の特検法は「10年以上の検事・判事・弁護士」の経歴を持つ弁護士の中から特検候補を探した。2014年に与野党が合意し通過させた常設特検法は「特別検事任命日から1年以内に党籍を持った者」を除外しており、今回は期間制限をなくした。
この日、国民の党の朴智元(パク・チウォン)非常対策委員長は、2013年に国家情報院の大統領選介入事件の捜査を指揮し、婚外子問題で退いたチェ・ドンウク元検察総長を取り上げもした。朴委員長は「最も多くが推薦し、ネチズンも要求しているため、国民的要求に政党として一度検討するに値する。だが本人が受諾するかどうかの問題がある。慎重に打診してみたい」と述べた。狂牛病事件を報道した文化放送「PD手帳」制作陣の起訴に反対し、検察指導部との摩擦を起こし辞表を出したイム・スビン弁護士の名前も上がっている。
法曹界の一部では代表的な検事だったユ・ジェマン弁護士が挙げられている。2003年の不法大統領選挙資金捜査、現代自動車の秘密資金捜査を行い、与野党を問わない捜査で名声を得た。2005年の国家情報院盗聴事件の捜査で高校・大学の検察の先輩であるシン・ゴン元国情院長を拘留起訴した後、自ら職位を下りた。ただ、2012年の総選挙の時、当時の民主統合党に比例代表候補として申請したことが引っかかる。判事出身の中では、内谷洞(ネゴクドン)私邸敷地の捜査特検を担当したイ・クァンボム弁護士が再び取り上げられている。共に民主党のパク・ワンジュ院内首席副代表は「判事出身であれ、検事出身であれ、この事件の重大さを感じ、国民の疑惑を一つ一つ明らかにできる人であれば良い。与党も同意しようやく作った特検法なのだから党利党略や好き嫌いで決める問題ではない」と話した。
民主社会のための弁護士会はこの日、批判論評で、過去の党籍まで特検の欠格事由としたのは過度な制限であり、▽検察特別捜査本部の捜査検事(31人)より少ない特検捜査チームの規模(25人)▽捜査期間の延長(30日)を捜査対象である大統領の承認を受けるよう定めた条項などを指摘し、「与野党の拙速な合意である特検法案に反対する」と明らかにした。