ミル・Kスポーツ財団は当初、10大グループが600億ウォン(約53億9千万円)を出資することが決まっていたが、朴槿恵(パク・クネ)大統領がこれを「30大グループが1000億ウォン(約89億を9千万円)出すように」指示したという証言が相次いでいる。これは朴大統領が4日、国民に向けた談話を通じて「善意で協力してくれた企業家の皆さん」と表現したのとは異なる状況である。大統領が資金を供与する企業と金額まで具体的に指定するなど、積極的に財団の設立を指揮したことを意味する。
「ハンギョレ」が4日、複数の大企業関係者を取材した結果を総合すると、朴大統領は昨年7月24日と25日に合わせて3回にわたって大企業のトップたちに会った。この場で両財団の資金はミル300億ウォン(約27億円)、Kスポーツ300億ウォン、合わせて600億ウォンと策定された。資金を提供する企業も、財界順位10位までに限定された。
朴大統領は7月24日、大企業のトップ17人と昼食を共にしながら、財団設立の趣旨を説明した。以後、同日午後と翌日の25日にかけて、サムスンのイ・ジェヨン、現代自動車のチョン・モング、SKのキム・チャングン、LGのク・ボンム、ロッテの辛東彬(<シン・ドンビン>重光昭夫)など、大企業のトップ7人を大統領府に招待し、積極的な支援を要請した。その後、アン・ジョンボム首席が主導し、10大グループは売上金額、資産規模、時価総額などを考慮して提供する金額を決めた。これと関連して検察関係者は「大統領府関係者の自宅を家宅捜索し、このような会談内容が盛り込まれた業務記録資料を確保しており、これを根拠に、アン・ジョンボム首席と大企業の関係者を召喚して、当時の具体的な状況について調査している」と話した。
しかし、10月に入り、突然金額が2倍近く増え、対象企業も大幅に増えた。当時、アン・ジョンボム首席が朴大統領に財団に対する出資の進行状況を報告したところ、朴大統領は「財団の設立は良い趣旨で進めることだから、両財団の出資規模をそれぞれ300億ウォンから500億ウォン(約45億円)に増やし、合わせて1000億ウォンとして、出資する企業も10大グループに限定せず、30大グループに広げて、皆が参加できる機会を与えるよう」と指示を下したという。アン首席は急遽変更された内容を大企業の役員と全国経済人連合会の関係者に伝えながら、「大統領の指示事項だから了承してほしい」と説明したという。
これによって、サムスンの場合、当初100億ウォン(約9億円)台前半だったが、結局、204億ウォン(約18億3千万円)を提供するなど、金額が増えた。対象企業も増えて15位のブヨン住宅、19位の錦湖アシアナはもちろん、45位のアモーレ・パシフィックまで入ることになった。しかし、提案を受けた一部の大企業は、「私たちは文化、スポーツと無関係である」として資金提供に否定的な反応を示し、結局、最終的に集まった金額はミル486億ウォン(約43億7千万円)、Kスポーツ288億ウォン(約25億9千万円)に止まった。
このように、朴大統領が財団の設立に深く関与した程度が明るみに出たことで、強力な検察捜査は避けられないと指摘されている。検察出身のある弁護士は「大統領の国民に向けた談話などを見ると、自分は財団の必要性を原論的に話しただけということだが、検察がこれを打ち破るためには証拠資料を提示したり、対質尋問などを通じて具体的に取り調べなければならない」としたうえで、「検察が検討している書面調査や訪問調査では限界があまりにも明らかだ」と指摘した。