ユン・ビョンセ外交部長官が9月23日、第71回国連総会演説で「北朝鮮に平和を愛好する国連加盟国としての資格があるかについて、深刻に再検討しなければならない時期」であるとして、問題提起を行った。1991年9月17日、韓国と北朝鮮が共に国連加盟国になって以来、韓国政府が国連総会という公の場で北朝鮮の加盟国としての資格を問題視したのは初めてだ。
これに先立ち、北朝鮮の4回目の核実験(1月6日)直後の2月15日には、オ・ジュン国連大使が国連安全保障理事会(安保理)の「国連憲章の原則と目的尊重」をテーマにした公開討議で、「北朝鮮の相次ぐ安保理決議違反は加盟国としての資格について疑念を抱かせる」と批判したこともあった。「北朝鮮の4回目の核実験に対する国連安保理の対応」(2月7日)という外交部の文書における論理を活用せよという「訓令」によるものだった。同文書には「北朝鮮は巨大な大量破壊兵器(WMD)開発機構」とすると共に、「国連加盟国としての資格まで疑問視せざるを得ない状況」であると書かれている。ユン長官はこれを国連総会で公式化し、最近は様々なチャンネルを駆使して北朝鮮との外交関係を断絶もしくは縮小するように呼びかけている。
ここで問うべきことは以下の四つだ。第一に、北朝鮮の追放は可能なのか? 第二に、前例はあるか? 第三に、朴槿恵(パク・クネ)政権はこれらの発言を行動に移すだろうか? 第四に、「北朝鮮の核問題」の解決に役立つだろうか。
第一に、国連憲章には加盟国の「除名」(第6条)と「権利と特権の停止」(第5条)の規定がある。いずれも「安保理の勧告によって総会」で決めることができる。見方を変えれば、安保理常任理事国(米国・中国・ロシア・英国・フランス)のうち、1国でも拒否権を行使すれば、不可能であるということだ。
第二に、1945年の国連創設以来、除名された加盟国はない。「資格停止」(の前例)には複雑な事情がある。南アフリカ共和国(南アフリカ)が「アパルトヘイト」(人種分離政策)のため、1974年から1994年まで21年間、加盟国としての資格が「事実上停止」された。1974年9月30日、第29回国連総会は、南アフリカの国連代表団の資格の拒否を勧告した「信任状審査委員会」報告書を「決議3206号」として採択した。しかし、安保理常任理事国である米英仏3カ国による拒否権の行使で、「南アフリカ共和国の資格停止」案は否決された。これを受け、総会議長は同年11月12日、「決議3206号」を根拠に「総会が南アフリカ共和国代表団の会議参加を拒否する」と宣言し、総会の全体会議採決で可決(賛成91、反対22、棄権19)された。「安保理の勧告」なしで会員国の資格を実質的に停止させた例だが、その根拠として「国連総会会議運営規定」が援用された。要するに、除名は中国とロシアが行使するであろう拒否権のために不可能である。ただし、「資格停止」を目指すなら、中ロの反対を迂回する方法はある。
第三に、朴槿恵政権は「北朝鮮締め出し」に外交力を注ぎ込むだろうか? 外交部当局者は7日、「政府は北朝鮮の国連加盟国の資格に問題があることを持続的に提起していく方針」だと話した。しかし、外交部のある中堅幹部は「ユン長官の発言は、北朝鮮の核・ミサイルの暴走に対する国際社会の警戒心を維持させるための戦術的な考慮によるもの」と話した。「行動」よりは「言葉の効果」を狙ったショック療法ということだ。南北関係の根本に繋がる戦略的事案を「戦術的な攻撃手段」として使うとは、軽薄極まりないとしか言いようがない。
さらに深刻な問題は他にある。朴槿恵政権が力を入れている「制裁一辺倒」であれ、多数の専門家が勧める「制裁と対話・交渉の並行」であれ、北朝鮮を多国間主義の柵(国連)で囲っておかなければ、効果は期待できない。ところが「資格停止」は、北朝鮮が多国的セーフティーネット(権利)であると同時に、柵(義務)である国連から抜け出し、暴走する口実だけを与える危険性が高い。
しかも、南アフリカのアパルトヘイト撤廃の「立役者」は国連加盟国としての「資格停止」(制裁)ではない。それに加え、脱冷戦による安保環境の変化、無視できない政治的実体として浮上したネルソン・マンデラ氏を軸にしたアフリカ民族会議(ANC)の存在、「黒人に核兵器を渡すよりは無くす方がましだ」とした当時のデ・クラーク政権の戦略的判断が重なった結果である。「北朝鮮核問題」も内外の状況変化を正確に捉えると共に牽引し、「共存」を図る戦略的決断がなければ解決できない難題だ。