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セウォル号船体引き揚げ後の切断不可避 遺族と特調委は反発

登録:2016-07-20 23:28 修正:2016-07-21 19:01
客室部分切断し、船首と船尾も分離 
遺族・特調委「事故の証拠物、船体き損は絶対に認められない」 
ウィ・ソンゴン議員「海洋水産部独断で船体切断決定、深刻な問題」
赤線が船体の切断部分を示す(資料:共に民主党ウィ・ソンゴン議員、コリアサルベージ)//ハンギョレ新聞社

 海洋水産部がセウォル号を引き揚げた後に未収容者を探すために船体の一部を切断(分離)する方案を推進していることが確認された。「4・16セウォル号惨事特別調査委員会」(特調委)と遺族たちは「事故の証拠物である船体を傷つけることは絶対に認められない」と反発した。

 20日、国会農林畜産食品海洋水産委員会所属のウィ・ソンゴン議員(共に民主党)が、海洋水産部から受け取った資料によれば、3月の専門家会議で「船体整理時の作業者の安全、および未収容遺体のき損防止のために船体の切断は避けられない」と意見を集約した。資料には「船内の障害物によって船体をき損せずに進入路を確保することは困難」として「内部捜索は危険な作業であり、作業者の安全確保と追加的な遺体き損を防止するために、船体(客室部分)の切断は避けられない」と記されている。

 海洋水産部は最近、セウォル号を切断した後に未収容者を探すという内容の提案書を提出したコリアサルベージ(株)を船体整理優先交渉対象者に選定した。「船体切断」を既定事実化したと見られる。海洋水産部関係者は「アパート7階の高さのセウォル号が、横倒しになっているうえに、船内に遺品や廃棄物も多くある。いろいろ検討してみたが、船体にまったく手を付けずに未収容者を探すことは不可能だ」として「客室部分を分離(切断)した後に作業せざるをえない。セウォル号船体の損傷を最小化できる唯一の方法」と話した。

 コリアサルベージの提案書によれば、横倒しになっているセウォル号の客室部分を切断し、さらに船首と船尾を分離する。船体を切断した後に横倒しになっている船体を正しく立て直す予定だ。海洋水産部は船体整理作業だけで2、3カ月を要すと見ている。

 これに対して4・16家族協議会のチョン・ソンウク引き揚げ分科長は「セウォル号の船体整理作業入札に応じた業者の中には、セウォル号を切断しないという所もあったのに、コリアサルベージが優先交渉対象者に選ばれたことには問題がある」として「政府があらかじめ遺族の話を聞きもせず、全てを決めてから説明するなど独断的に引き揚げを進めている」と批判した。特調委関係者も「セウォル号船体引き揚げの主な目的は、完全な引き揚げを通した真相究明である以上、船体の切断には反対する」と話した。

セウォル号が横倒しになっている様子。赤線が切断部分を示す(資料:共に民主党ウィ・ソンゴン議員、コリアサルベージ)//ハンギョレ新聞社
客室部分を切断した後に横倒しになっているセウォル号の船体を正しく立て直すことを示す(資料:共に民主党ウィ・ソンゴン議員、コリアサルベージ)//ハンギョレ新聞社

 今回、船体整理業者に選ばれたコリアサルベージが3月に政府が主催した専門家会議にも参加したことがわかり問題になっている。政府が当初から船体の切断を考え、それに合致する業者を選定したのではないかと指摘されている。ウィ・ソンゴン議員は「入札過程で違法事項がなかったか検証が必要だ」と話した。これに対して海洋水産部関係者は「専門的な領域であるため、3月の会議に当該分野での経験が豊富なコリアサルベージの話を聞いた。他の業者も参加した」として「特定業者と談合した事実はまったくない」と話した。

キム・ソヨン、キム・ミヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/753162.html 韓国語原文入力:2016-07-20 17:16
訳J.S(1634字)

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