西海(黄海)の北方限界線(NLL)海域に侵入し不法操業を行う中国漁船を取り締まる海洋警察組織が設置される見込みだ。無許可の操業や暴力行使など公務執行妨害を行う中国漁船を没収、廃船にすることができるよう法改正も進められる。だが、西海5島の漁師たちは「非常に不十分な政策」だと反発している。
海洋水産部、外交部、法務部、国防部、行政自治部、国民安全処、企画財政部などは11日、世宗(セジョン)庁舎で以下の内容を盛り込む「中国漁船の違法操業根絶および西海5島の漁業者支援策」を共同発表した。
まず4〜6月、9〜11月のワタリガニのシーズンに数多く続出する中国の漁船に対応すべく、取り締まりを強化する。政府は国民安全処傘下の海洋警察に、西海の北方限界線海域で不法操業を行う中国漁船を担当するタスクフォース(TF)チームを新たに設置する予定だ。延坪島(ヨンビョンド)には特攻隊2チームが常駐し、中国漁船を取り締まる人員も2倍ほど増やす。艦艇は7隻から9隻に増やし、ヘリ機も新たに1台設け、特攻隊(6人→18人)、特殊機動隊(43人→86人)も大幅に拡大する。
また、処罰も強化される。韓国と中国の許可を受けていない漁船の没収、廃船を義務化するため、排他的経済水域(EEZ)の漁業法の改正を進める。違法漁船の担保金も最高2億ウォンから3億ウォン(約2364億円)に引き上げられる。担保金は、不法操業で摘発された中国漁船や漁獲物などを押収し、これを返還する前に徴収する一種の罰金である。不法操業を行った船長を拘束し捜査することを原則とする方針だ。
漁師のための対策も用意された。漁場を拡張し、9〜11月には延坪島の漁場の西端の一部に当たる14平方キロメートル(横7キロメートル、縦3.9キロメートル)規模の海域で試験的に操業が許可される。延坪漁場内のエビ操業が行われる時期(4〜5月、10〜11月)に限り、操業時間を現行の「日の出〜日没」から「日の出30分前〜日没後1時間」とし、約1時間30分延長する。
政府は実効性のある対策の推進のため、今月12〜14日に開かれる「韓中実務会議」や、9月の「韓中漁業共同委員会」などの外交チャネルを通じて中国側と協議する予定だ。だが、最近朝鮮半島での配備が決定した高高度防衛ミサイル(THAAD)により 、韓中間の緊密な協力は難しくなるとの指摘もされる。これに対し外交部の関係者は「THAAD配備とは別の事案。中国も不法操業の問題を根絶する意志がある」と話す。
西海5島の漁師は政府案に反発している。これまで求めきた韓中漁業協定の改正で漁業の境界を明文化し、中国の不法漁船の担保金を水産発展基金に組み込むことや、西海5島の海洋警察安全署の設置、漁業活動の被害に対する信用回復の支援(ローンの利子猶予や減免)、飲料水問題の解決のための「ウォーター自立島」の推進などの主要な内容が含まれていないと漁師たちは主張する。「西海5島中国漁船不法操業対策」のホ・ソンギュ共同委員長は「漁師たちが要求した内容の10分の1も反映されていない。不法操業問題を外交的に解決すると数十年も言われ続けた政策を蒸し返しただけ」と言い、「答を要求したが、政府は『政府の立場』を発表しただけの形だ」と反発した。委員会は16〜17日と23〜25日、政府の対策と関連し緊急会議を開き、対応策を用意することを明らかにした。
韓国語原文入力:2016-07-11 20:25