中国、取り締まりの限界訴え事実上放置
中国漁船、北方限界線付近で操業
取り締まりに向けた南北対話が必要
7月のワタリガニの産卵期を控え、西海(黄海)で「ワタリガニ戦争」が繰り広げられている中、南北関係の悪化に伴う軍事的緊張の高まりで、政府は悪化の一途を辿る中国漁船の違法操業を事実上放置している。
政府が、西海の北方限界線(NLL)南側の海上で韓国の漁師らが中国の違法漁船を拿捕した事件をきっかけに、中国側に違法漁労を強く抗議し、対策を求めたことが8日に分かった。韓国政府は、今月末か来月の初めに国内で開かれる予定の「第9回韓中漁業問題協力会議」でも、中国当局に対策を要求する予定だ。中国は違法漁船に対する厳重な処罰、漁師を対象にした指導・教育などを通じて継続的に努力する立場を示しているが、実効性はあまり期待できない状況だ。中国自らが取り締まりの限界を訴えているからだ。
最大の問題は、南北関係の悪化のため、韓国政府が積極的に取り締まりができないことだ。中国の違法漁船は主に北方限界線(NLL)周辺を行き来しながら、底引き網でカニを一匹残さずすべて取って行く。延坪島(ヨンピョンド)北方海上は北方限界線までわずか1.4~2.5キロメートルしか離れておらず、北朝鮮軍の海岸砲や艦艇に露出してしまう。海軍・海上警察の不法操業の取り締まりが限定的に行われるのも、そのためだ。特に最近は南北関係が極端に悪化し、すべての対話チャンネルが途絶えており、軍事緊張は最高潮に達した状況にある。
南北の漁師の北方限界線周辺での漁も事実上中断されることを、中国の違法漁船は狙っている。彼らは北方限界線と延坪島の間の海で数日間違法操業を繰り広げ、海軍や海上警察が拿捕作戦を実施する兆候があると、北朝鮮の海域に逃げてしまう。4月から6月まで北方限界線近くの海上で海軍レーダーに捕えられた中国漁船の数は、2013年に1日平均172隻だったが、2014年には212隻、2015年には329隻で、毎年増え続けている。李明博(イミョンバク)政権発足後、南北関係が本格的に悪化し始めた2010年以降、中国の違法漁船の数がさらに増えたことが分った。
このため、専門家と地元漁師たちは、南北が共同で中国の違法漁船の取り締まりを実施できるように対話が必要だと強調する。2004年6月、韓国と北朝鮮は西海での偶発的な衝突を防止するため、「西海海上で艦艇が互いに対峙しないよう徹底的に統制」することにして、国際商船共通網(公共周波数)を活用する一方、第3国の違法操業船の動向と関連情報を交換することで合意している。これをもとに、南北軍が情報共有を通じて中国の違法漁船を共同で取り締まったこともあった。
韓国語原文入力:2016-06-08 19:13