習主席、北朝鮮労働党大会の結果など説明を聞き
「戦略的コミュニケーションの伝統の実現」と歓迎
朝中ともに関係回復と強化が切実
一部では「高位級会談に向けた破氷の信号」
北朝鮮が直ちに並進路線を放棄しなくても
「核実験凍結」約束すれば交渉の糸口に
習近平・中国国家主席が1日、第7回党大会の説明のため北京を訪れたリ・スヨン朝鮮労働党中央委員会副委員長一行と面会したのは、「党対党」の交流を重視する朝中関係の慣行からして、予見されていたことだ。 2010年10月の第3回労働党代表者会議直後にはチェ・テボク党書記が「金正恩(キムジョンウン)が後継者に確定された」事実を、2012年4月の第4回労働党代表者会直後にはキム・ヨンイル党書記が金正恩体制の発足を胡錦濤・中国首席(当時)に直接伝えていた。
このような関係を踏まえても、今回の北朝鮮代表団と習主席との面談は意味が大きい。習主席が公式に北朝鮮の高官に会ったのは、2013年5月に金正恩労働党委員長の特使として訪中した崔竜海(チェリョンヘ)人民軍総政治局長(当時)を面会して以来、3年ぶりのことだ。注目すべきなのは、どのようなことが話し合われたのかだ。対話の内容によっては、朝中関係と朝鮮半島情勢に変化が起きるかもしれないからだ。
何よりも、今は朝中両国とも関係回復・強化が切実な時期である。中国にとっては北東アジア情勢の安定と北東アジアの盟主として「北朝鮮の管理」が、北朝鮮にとっては第7回党大会以来の国際的な活路の模索が切実になっている。問題は「北朝鮮の核問題」をめぐり両国で議論されていることだ。朝中は「同床異夢」を持ち続けることができるのか。習主席は、金正恩委員長がリ副委員長を通じて党大会の結果を説明したことについて、「戦略的コミュニケーションの伝統の実現」として歓迎し、「朝鮮の経済発展と民生改善を願っている」と述べたという。中国が専門の成均館大学のイ・ヒオク教授は「リ・スヨン副委員長の訪中は、変化した局面を反映するものと見られる。高位級会談に向けた破氷の信号となるか見極める必要がある」と指摘した。
韓国政府「並進路線放棄ない限り難しい」
米国「非核化に向け態度に変化があれば対話を模索」
韓国政府の反応は否定的だ。外交部当局者は「核問題に対する北朝鮮の態度に変化がなければ、局面に変化をもたらすことは難しいだろう」と述べた。北朝鮮が「経済・核武力建設の並進路線」を放棄しない限り、意味のある進展は不可能だという指摘だ。リ副委員長が31日、宋濤・中国共産党対外連絡部長と面談し、金正恩委員長の並進路線を強調したとする朝鮮中央信の報道を見た複数の政府当局者たちは「失望している」と語った。韓米日の6カ国協議首席代表らは同日、東京で協議し「北朝鮮から真の態度の変化を引き出すには、国際社会が圧迫を続ける必要がある」と明らかにした。ただしソン・キム米国務省北朝鮮政策特別代表は、北朝鮮が非核化に向けた意味のある態度を示せば、対話の可能性を模索する用意があるとした。
しかし、北朝鮮の核問題に深く関わった元高官は、「北朝鮮が並進路線を直ちに放棄しなくても、意味のある進展は可能だ」と強調した。元高官は「北朝鮮が核実験の凍結を宣言し、これ以上状況を悪化させないと約束すれば、中国はこれを前提に交渉を通じて問題解決を図る余地があると判断するだろう」と指摘した。リ副委員長が口頭で伝えた金正恩委員長の「親書」に、このような「約束」が盛り込まれていれば、朝中首脳会談もあり得る。 新華社通信の報道によると、金委員長は「朝中関係の強化・発展」と「朝鮮半島と北東アジアの平和安定の保護における朝中共同の努力」を望んでいることを明らかにしており、習主席は「中朝の友好・協力関係を非常に重視」すると共に、「関連当事国の冷静や自制、疎通、対話」などを強調したという。金委員長が北東アジアの平和と安定と関連して「保護」という微妙な表現を使ったことが目を引く。「平和のための核抑止力」という並進路線の主張を前提としている可能性があるからだ。報道されていない内容に注目し、見守る必要があると思われる。
朝中両国は、2011年5月の金正日(キムジョンイル)総書記の訪中以来、5年以上も首脳会談を開いていない。もちろん習主席と金正恩委員長体制が発足してからも首脳会談は実現しなかった。両国はこれまで互いに自分の国を訪問することを求めてきたとされるが、北朝鮮が核問題で意味のあるカードを中国側に見せれば、習主席の平壌(ピョンヤン)訪問も実現するかもしれないというのが、両国関係に明るい元高官たちの分析だ。また、7月11日は朝中友好条約55周年になる。北京大学の金景一教授は「中朝友好条約55周年記念行事と関連した提案が話し合われた可能性がある」と指摘した。
韓国語原文入力:2016-06-01 21:19