北朝鮮労働党中央委員会政務局のリ・スヨン副委員長の訪中は、今月5日から7日まで北京で開かれる第8回米中戦略経済対話を控えて電撃的に行われたため、その背景に関心が集まっている。北朝鮮はこれまで、米中間で主要高位級会議が開かれるたびに、中国を通じて自分たちの関心事を議題化させようとしてきたためだ。
米国は今回の戦略経済対話で北朝鮮に対する制裁強化を中国に求める計画だった。米国務省のダニエル・ラッセル東アジア太平洋次官補は31日(現地時間)、戦略経済対話に関する事前ブリーフィングで「米中間の議題の一つは国際的な土台の上に作られた対北朝鮮圧力を引き上げ、米国が望む成果をあげること」と明らかにした。
ラッセル次官補は「北朝鮮をひざまずかせようとするものではない。我々が望む成果は、北朝鮮が朝鮮半島非核化についての議論に同意すること」と付け加えたが、重点は「制裁強化」に置かれている。こうした米国の雰囲気を意識した北朝鮮が、先制的に外交的対応に乗り出した可能性は十分にある。
中国が米国を相手に対話局面への転換を説得できる外交的空間を確保できるかは、北朝鮮が一定の「誠意」を示すかどうかにかかっている。米国が対北朝鮮制裁強化のために中国を圧迫しようと意気込んでいる状況で、北朝鮮が中国に対して非核化についての明確な信号を与えなければ、中国も動ける余地がほとんどない。
米国はひとまず様子見の構えだ。米国務省東アジア太平洋局は、リ・スヨン副委員長の訪中について「中国政府に訊いてくれ」とだけ答えた。朝中の議論内容を見た後に立場を決めるという態度と見られる。
一方、ホワイトハウスのジョージ・アーネスト報道官は31日、定例ブリーフィングを通じて「ムスダン」と推定される北朝鮮のミサイル発射に対して「これは北朝鮮の弾道ミサイル技術の使用を禁じた国連安全保障理事会決議への明白な違反であり、強く糾弾する」と明らかにした。