ウォン・セフン元国家情報院長の破棄控訴審公判で、国家情報院が2011年から、事実上、保守団体の「コントロールタワー」の役割を果してきた情況があらわれた中で、2013年5月に公開されたいわゆる「パク・ウォンスン制圧文書」が再び注目を集めている。 国家情報院が全国経済人連合会(全経連)と大韓民国父母連合(父母連合)を活用して、パク・ウォンスン・ソウル市長に対する世論戦を展開しようとした情況がそっくりそのまま出ているためだ。 当時検察は「国家情報院の文書とは見難い」として事件を覆ったが、最近になって全経連(資金支援)ー父母連合(官製デモ施行)の「黒いコネクション」が事実であると確認され、国家情報院の介入があったか再捜査の必要性が提起されている。
2013年5月にハンギョレが入手し公開した「ソウル市長の左翼偏向市政運営実態および対応方向」(パク・ウォンスン制圧文書)には、「経協(韓国経営者総協会)や全経連などの経済団体を通した非難世論造成」と「自由青年連合、父母連合など汎保守陣営によるパク市長の市政を糾弾する集会、抗議訪問および声明戦などに積極的に取り組むよう促すこと」、「著名教授、論客、マスコミ社説、コラム動員」など特定団体を名指ししてパク市長を圧迫する具体的な実行方案が含まれていた。
実際にこの時期、父母連合など極右・保守指向の団体は、パク・ウォンスン市長誹謗・糾弾などの官製デモを実行した。 このような状況の中で最近JTBCなどの報道を通じて官製デモが行われた2012年2月から2014年末まで全経連が父母連合の借名口座に5億2300万ウォン(約5千万円)を振り込んだ事実が確認された。 全経連が資金を送金した時期に父母連合はパク市長の子息パク・ジュシン氏の兵役疑惑を糾弾する集会を開催したり、パク市長が再選に出馬した2014年の6・4地方選挙前にもソウル市庁前で「親環境給食から農薬検出」糾弾デモを1週間に5回も行った。 当時、民主党の告発で捜査に入った検察は、文書に含まれた内容が実際に実行されたかを捜査せずに「国家情報院の文書とは見難い」として捜査を終結した。 当時、民主党は「国家情報院の文書が外部に出る時には固有のフォントを変形しているという。 国家情報院職員の実名と電話番号まで具体的に出ているので、該当職員に対する召還調査が必要だ」と反発したが、事件は他の懸案に押されてうやむやになった。
しかし、最近全経連とオボイ連合の関係が事実であることが確認され、国家情報院の文書ではないとされた「パク・ウォンスン制圧文書」が本当に国家情報院の文書でないか真偽を明らかにする必要性が提起されている。 特に「被害」の当事者であるパク市長は26日、自身のツイッターに「今こそ真実を伝え偽りを制圧しなければなりません」と書いた。
一方、この日ソウル西部地裁では父母連合の集会を指示した疑いを受けている大統領府のホ・ヒョンジュン行政官が「時事ジャーナル」を相手に起こした出版禁止およびインターネット版記事削除仮処分訴訟と関連して尋問が行われた。 ホ行政官の代理人は、法廷で「ホ行政官が所属した国民疎通秘書官室の主たる業務は、市民社会と疎通すること」とし「通常の業務遂行で協議したことはあるが携帯メールで『集会を開いてほしい』とか『開け』と指示した事実は全くない」と容疑を否認した。 「2030政治共同体青年」などの青年団体はこの日、ソウル瑞草洞のソウル中央地検前で記者会見を行い「保守団体をそそのかして官製デモを指示した事実が検察の捜査で確認されるならば、これは大統領府行政官に職権乱用罪を適用し処罰しなければならない」として、ホ行政官を告発した。
また、ソウル中央地検は宣教財団の口座を通じてオボイ連合を迂回支援した疑いを受けている全経連に対して、経済正義実践市民連合が金融実名制法違反などの疑いで捜査を依頼したことと関連して刑事1部(シム・ウジョン部長検事)に事件を割り振り捜査に着手したと明らかにした。