エクアドルには70万ドルの支援を決めたが、日本には計画がない
政府「救護の意思を示したが日本側が丁寧に断った」
外交部は20日、大地震で甚大な被害を受けたエクアドルに70万ドル(8億ウォン)を支援すると発表した。エクアドルは16日と17日に起きた地震で400人が命を失うなど、45万人の難民が発生し、被害の復旧に腐心している。欧州連合(EU)とノルウェーがそれぞれ180万ユーロ(23億ウォン)を既に支援しており、メキシコやスペイン、キューバなどが緊急救護隊を派遣した。
日本も14日と16日の2回にわたる大地震で九州の熊本県を中心に数十人が命を失い、20万人の被災者が発生した。ところが政府は、日本には援助金や援助物資、人材支援の計画を明らかにしていない。政府はなぜ遠いエクアドルは支援するのに、隣国の日本には支援を行わないのか。
日本の地震被害と関連し、韓国社会には2つの異なる見解が交錯する。一つは「朴槿恵(パククネ)政権が4・13総選挙の惨敗の対応に追われ、日本に対する救護を忘れてしまったのではないか」という批判だ。もう一つは「2011年の東日本大震災時に誠意をもって援助したのに、返ってきたのは、歴史歪曲、戦時性奴隷制(日本軍慰安婦)に対する国家犯罪の否定だけだ。今度は絶対に助けてはならない」という感情的な反発だ。これらの見解の間には調整と和解の余地がほとんどない。
政府が日本に救援支援を行わないのは、2つの極端な見解の間で右往左往しているからではない。実際に、政府は日本政府にすでに数回にわたって救済の意思を示した。朴槿恵(パククネ)大統領は18日、安倍晋三首相宛てに「お悔み」を伝えた。数多くの人命と財産の被害に「深い哀悼と慰め」の意を伝え、「事態収拾のための支援の意思」を明らかにした。外交部当局者は21日、「救護の意思を重ねて示したが、日本側が『心から感謝する。しかし自主的に収拾できる』として丁寧に断ってきた」と述べた。日本が拒否したためであって韓日関係が悪化しているからではない。
いわゆる先進国は、大規模の災害に遭っても、他の国からの支援を断る傾向がある。防災体制が整っており、財源も十分確保できているからだ。また、地震を「日常的なもの」と捉える日本では「地震への備えに関しては、日本が最も進んでいる」という自負心も強い。実際に、熊本県の地震被害の復旧に公式参加した「外国」は、垂直離着陸機のオスプレイで人命救助を支援する在日米軍だけだ。
だから、韓国政府が日本に救援品や人材を送っていないことを責めるべきではない。しかし(何か)おかしい。韓国市民社会が救援のための募金運動を展開する兆しが見られない。慰安婦被害者ハルモ二(お婆さん)のキム・ボクトンさんとキル・ウォンオクさんが「少しずつでも誠意を集めよう」として130万ウォン(約12万6千円)を寄付し、アシアナ航空が毛布1千枚を被災地に緊急支援したのが知られているだけだ。 2011年3月の東日本大震災の時に、韓国が最初に緊急救護隊を派遣して、市民社会を中心に「困ったときに助けるのは真の友人」として約90億円(937億ウォン)の募金を渡した先例と全く(状況が)異なる。
今回の地震は東日本大震災の時とは異なり、日本独自で収拾できるという判断があっての反応と言えるかもしれない。しかし、慰安婦問題の強制性を認め、謝罪と反省の意を明らかにした「河野談話」(1993年8月4日)を事実上否定し、退行的な動きを見せている安倍政権と12・28合意に対する韓国社会全般の反感が影響を及ぼしたことも、否定できないだろう。非常に残念だ。
朴槿恵政権は上半期中に慰安婦被害者支援のための基金を設立するなど、12・28合意の履行を強行する構えだ。そうなると、4・13総選挙で(12・28合意の)「無効化・再交渉」を公約に掲げた野党はもちろん、12・28合意を違憲とし、憲法訴願を出した慰安婦被害者たちの反発するのは必至だ。韓国社会は大騒ぎになり、韓日関係も荒波に晒されることになるだろう。
韓国では結婚などの慶事には参加できなくでも、葬儀などの弔事には必ず駆けつけるべきと言われている。悲しみは分かち合えば半分に減るのが人の常だ。「私たちは、日本人と戦っているわけではない」というキム・ボクトンさんとキル・ウォンオクさんの教えに従って、韓国の市民社会が地震によって深い悲しみに陥った日本の市民に向けて、連帯の手を差し伸べてほしい。韓日政府の主張とは異なり、12・28合意なんかで未来志向的な韓日関係が開かれるはずがない。韓日市民社会の「心の連帯」なしで、どうやって未来志向の韓日関係が可能になるだろうか。
韓国語原文入力:2016-04-21 14:05