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「表現の自由」国連特別報告者、日本政府の教科書介入は誤りと指摘

登録:2016-04-20 23:09 修正:2016-04-21 07:20
慰安婦関連記述削除は民衆の知る権利侵害
デービッド・ケイ「表現の自由」国連特別報告者//ハンギョレ新聞社

 

 日本軍「慰安婦」問題など歴史的事実を教科書からなくそうとする日本政府の動きに対して、国連人権委員会の特別報告者が深い憂慮を明らかにした。

 デービッド・ケイ「表現の自由」国連特別報告者は19日、東京千代田区の外国人特派員協会で記者会見を行い、「日本政府が歴史的事件に対して起きたことの解釈に介入するのは慎重でなければならないのみならず、(慰安婦制度のような)深刻な犯罪を市民に知らせる努力を怠ってもならない」と指摘した。 ケイ氏は日本のメディアと表現の自由を巡る状況を調査するため今月12日から調査活動を始め、この日暫定的な中間調査結果を出した。

 ケイ氏の言及の中で最も目につく指摘は日本の教科書を巡る問題だ。

 日本では自ら日本軍慰安婦だったことを初めて明らかにした1991年8月の金学順(キムハクスン)さんの最初の証言以後、1993年8月に慰安婦動員過程の強制性などを認めた「河野談話」が出された。 以後、日本の中学校と高等学校の歴史教科書には慰安婦関連記述が載せられ始めた。 しかし、日本社会の全般的な右傾化とともに、中学校では「生徒たちの教育上望ましくない」という理由で記述がほとんど消え、今年3月末に検定結果が発表された高等学校教科書(2017年から使用)にも慰安婦制度の強制性と関連した記述が大幅に減った。 ケイ氏はこの日の中間報告で「中学校の日本史教科書から慰安婦記述が削除されつつあるという事実を聞いた。 第2次世界大戦中の犯罪をどのように扱うかについて政府が干渉することは民衆の知る権利を侵害する」という見解を明らかにした。 これは国定化を通じて政府が直接教科書を執筆するようにした朴槿恵(パククネ)政権も重く受け止めなければならない指摘だ。

 次いで目につくのは、現在日本に蔓延している少数者に対する差別とヘイトスピーチ(憎悪集会)だった。 ケイ氏は「最近日本は少数者に対する憎悪表現が急増する事態に直面している。 日本は差別と戦うための包括的な法整備をしていない。 ヘイトスピーチに対する解答は、差別行為を禁ずる法律の制定」だと指摘した。

 さらに金学順さんの証言を初めて報道した植村隆・元朝日新聞記者に対する攻撃、高市早苗総務相が「政治的公平性を欠く放送を繰り返した放送局に電波を使わせないようにすることができる」と言及したこと等を、言論に対する威嚇だと評価した。 また、国家安保に支障を与えかねない特定機密を流出した人を厳しく処罰する内容を盛り込んだ特定秘密保護法は、非常に曖昧で関連事実を報道した記者まで処罰できるようにしたことは「問題がある」として法の改正も促した。

 ケイ氏は今月12日から19日まで日本政府関係者、新聞・放送・出版社の代表、記者、市民の意見を聴取し、日本国内の言論・表現の自由問題を調査・分析して、この日中間調査結果を出した。 正式報告書は2017年に国連人権委員会に報告される。 ケイ報告官は米国カリフォルニア州立大アーバイン校の教授で、2014年に国連特別報告者に任命された。

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/740530.html 韓国語原文入力:2016-04-20 13:50
訳J.S(1449字)

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